Dips ~無くなるまで~
ノヴァとの戦いの後...
人気のない砦にてとある会合が開かれていた
「テンプル騎士団No招集とは久しぶりだな。」
「ええ、かれこれ数百年ぶりでしょうか?」
たたずむ二人は軽装を身にまとった長身の男と、対照的に重装を身にまとった単身の女子。
「いやいや~、我らを一斉招集できるとなるとこれは騎士団長様の計らいですかねぇ~」
やや長髪の男性が軽口を言っていると...
「よー、お前らだけでも一斉に集まるとめずらしいなぁ、おい」
首から下にローブを纏った男が影より現れた
「おやおや、もう全員お揃いで、まさか僕が一番最後だなんて。」
最後に現れたのはあの【ノヴァ】であった
「っま、ノヴァが一番遅いのは何となく予想がついたけどなっ!」
「いやいや、僕はオーラが一番最後に来ると思ってたよ。」
ローブを纏った【オーラ】と呼ばれる人物と会話するのに対して他三人の反応は...
「やれやれ~、ノヴァはさすがですねぃ、普通そのお方となんてぇよくその距離で会話できるもんすなぁ~」
「パラノイア、そいつはどういう意味だ?」
長髪の男性、もとい【パラノイア】と呼ばれる者に突っ込みを入れるのは...
「ノヴァさん、ご存知の通り我々固有魔法使いの中で最も強力で凶悪な能力を保持しているのはオーラさんです。」
「レンズの言うとおりだ、そいつの固有魔法圏内に居ると突然発火や感電、凍結なんでもござれりだ」
「やれやれ、レンズとレーザーは相変わらずずけずけといいやがるな」
残る二人は【レンズ】と【レーザー】と呼ばれていた
「いやいや、僕とオーラは長い付き合いでね。」
「そうだぜ、今じゃNo制度が導入されて序列を決められない五人衆なんて呼ばれちゃいるが、もともと団長様と俺ら二人しかいなかったんだぜ?」
双方が言い合いをしていると、少し高い位置から一人の甲冑を身にまとった人物が現れた。
「わざわざ呼び出してしまってすまないね、でも、みんなが集まってくれて何よりだ。」
一同が一声に(騎士団長様!)と声を上げた
「畏まらなくていいよ、今日君たちに集まってもらったのはほかでもない。ノヴァの報告で由々しき事態が起きているみたいでね。」
「僭越ながら騎士団長様、聞きかじった話ではございますが、この間ノヴァさんが一撃食らったというお話でしょうか?」
「少し早計だね、そのこと自体は驚くべきことではないよ。もちろん君たちにだって神様でもあるまいし一撃ぐらいあたることもあろうだろうに。」
騎士団長と呼ばれるものがレンズをなだめると、甲冑越しにも伝わるほどにノヴァを見ていた...
「ノヴァ君、君から報告してもらうほうが信ぴょう性もあるんじゃないかな?」
そう言われるとノヴァに起きたことの顛末を話す。
ノヴァの代名詞である魔法を奪われたこと、奪ったものの詳細、術式に使われた魔法の内容
「な、それじゃあ俺らのNoに居ること自体ダメじゃ~ん」
「パラノイア、ストレートに言っているが、それは問題じゃないんだ。」
「おっと、団長様失礼しましたぁ。」
再び周りをなだめる騎士団長
「まったく、団長も知ってるだろうけどさ、俺らマジまとまりねぇから。気苦労が絶えないよね。」
「オーラ...そうだったね、っまいつものことだから慣れてるんだけどね。」
「んでもよぉノヴァ、お前今固有魔法使えないのは事実なんだろ?」
こくりとノヴァが頷く
「さて、本題に入ろうか。今回君たちに集まってもらったのはね今後の方針というか、危険事項を共有しておきたいと思ったからなんだ。」
騎士団長が言うには、ノヴァの魔法を奪った際に使用された技が固有魔法であるはずのものが使われたということだった
「話を聞く限りではございますが、騎士団長様はなぜその魔法が固有魔法だと言い切れるのですかご教示いただけますでしょうか。」
「レンズの疑問ももっともだね、まずその答え合わせを言っておくと【デスペナルティ】なる魔法は僕の固有魔法だからね。」
オーラとノヴァを除き一同が驚愕する
「ま、まじかよ、そんなえげつねぇ魔法を騎士団長様は使えるってのかよ!」
「レーザー君、そう興奮しないでいいよ。僕も正直自分以外でこの魔法を使用できるものが居ないからにわかに信じがたい話では合ったんだけど、実際にノヴァの魔法が使えないことや、対価を支払ったこととか総合的に見てまったく同等の魔法だということがわかったんだ。」
騎士団長による説明が淡々と告げられる
「なるほどな!よくわかった、要はその筋肉ダルマをやっつければいいんだろ?」
「頼むからオーラ、茶々入れないでくれよぉ...」
「やはぁり、団長様はどうにもしまらない感じが良いですなぁ~」
苦労人の騎士団長が言った命令は筋肉ネクロマンサーの抹殺だった...