Back Extension ~這い上がれ~
「死んだか、それでどうする?選べ。」
「さあ選べ。生存か死か。」
気が付くと俺はまたあの真っ黒な空間に居た
「俺は死んだのか?どうやって死んだんだ?」
「お前は死んだ、その事実以外に何か必要なのか?」
淡白な回答、また生存と死を選ばせる。
「だが、答えるならばお前は音による共振によって肉体が塵と化した。さあ答えたぞ、生存か死か、選べ。」
音撃と呼ばれる輩に襲われたのが理解できた。
あの囁き声も納得がいく...
だが、もしこれで蘇ったとして繰り返し死に続けるんじゃないか?
「生存したいのはやまやまだけど、死ぬのを繰り返すのはなんと...あれ?」
「感情か、ここではお前から奪った物は一時的に元に戻る。無論生存すればまた失う。」
「生存を選べばまた何かを失うんだろ?この間生き返った時は死んだ場所からだったし、今の状況じゃ繰り返し死に続けて大損だ。」
ローブの奴は死を選ぼうとする俺を止めたいのか妙な提案をしてきた。
「迅速に選択すべきだが、お前の状況化を伝えるならば、お前を襲ったあの者達は塵と化したのを目視した後にその場を後にしている。」
確かに死んでも蘇ることができるのは非常にメリットがあるが、あの世界じゃ俺は生きているほうが辛いと言い切れるほど向いていない。
「付け加えるならば、お前と行動を共にしていたアンデットの者も塵になったが生存している。」
何とかなりそうな兆しが見えた気がした、その答えを聞いて安易に生存を選択してしまった...
「よかろう、それでは今回はお前の過去に干渉させてもらう。」
そう告げられると、再び脱出地点で目を覚ました。
「はぁ...はぁ...」
「え、なんや、あんさんもアンデットやったちゅうんかい?驚いたでほんまに。」
ゴンの頭部がそこにあった。
「さすがに音撃はあかん思て、とっさに頭切り離したんよ、これでしばらくしたらまた元の姿に戻るさかい。」
「そうか...」
次の言葉を口にしようとした途端
この世界に来る前の嫌な思い出が思考を邪魔する程鮮明にフラッシュバックした。
「どないしたん?」
「はぁ、はぁ、はぁ、違う違う、そんなつもりじゃ、違う...」
身体のいうことが効かない、自分の意志と反して勝手に言葉が口に出る
すごく嫌な感じだ、トラウマとかじゃない、日常で自分が失敗した、やってはいけなかったと思ったがその場で素直になれず悪い方向に進んだことが鮮明によみがえる...
「おちつきなはれ、じぶんアンデットと気づかへんで蘇ったんやったら相当ショックやわ、まあでも慣れてええもんちゃうけど、受け入れることは大事やで。」
ゴン違うんだ、そうじゃないんだ...
しばらくは嫌悪感が続いたが、少ししたら元に戻った
「すまない。」
「おおよかったわ、ほんで早速で悪いんやけど、あんさんワイの頭もってこの場離れてくれへん?まだ連中の近くやし、このままここに居るんはあかん思うんよ。」
ゴンに指示された通りにこの場所を後にしつつ、道中でゴンに魔法について尋ねた
「ええか、魔法は詠唱魔法と無詠唱魔法っちゅうんがあるんや、この世界ではテンプル騎士団ゆうて、そいつらが制定した法によってな詠唱魔法しか使えへん奴らも咎人として捉えとるんや。」
「わかった。」
森の中で俺たちは休息をとった。
「さっきの話の続きやけどな、詠唱魔法ってのはな誰でも使えるんや。ただし、詠唱魔法が使える言うても系統っちゅうんがあってな、ややこしいんで省くけどな、簡単に言うたら無詠唱魔法が使えへん奴らはこの詠唱魔法で”炎”系の魔法しか使えへんとか縛りがあるねん。」
俺も魔法が使えるのか?
ただ、詠唱魔法とはその名の通り声に出さなければ発動できない魔法。
どう考えても無詠唱魔法のほうが利便性に長ける故に易々と詠唱魔法を繰り返せばこの世界の法に触れてしまう。
「あんさんはどないな魔法が使えるんやろな。」
「どうすればいい?」
「したら、ストライクって言うてみ?」
ストライクと口にしてみたが何も反応は無かった...
「気にすることないでぇ、ワイは今あんさんが唱えた魔法、つまるところ魔武言うんやけど、それしか使えへんねや、せやからそれ以外は知らん。」
ゴンが言うには詠唱魔法は当てずっぽうでも読み上げてヒットすれば確認できるらしいが、さすがにこの世界のルールも知らない俺には非常に厳しい。
「そこで提案なんやけども、あんさんしょっぱいもん覚えるよりも協力なの覚えたくはあらへんか?」
「どういうことだ?」
よくよく見ると、地面に置いたゴンの頭部の下部から徐々に消えかかっているのがわかった
「あんな、黙っとったんやけどワイはちょっともうもたへんねん。せやから提案なんやけどワイの力をあんさんに渡しとぉ思てな。」
「どうなる?」
すまない、本当は感情的になるべきなのはわかってるが言葉が出ない...
「ハハハハハ、あんさんはほんまにけったいな奴やのぉ。んで、どないするん?」
「もらおう」
そういうとゴンは目を閉じてアンデットに似つかわしくない神々しい輝きを放った
「ええことしたかわからへんけど、これであんさんは死霊術がすべて使えるようになるで。」
「感謝する。」
「アンデットが死を悟るんもおかしな話やけど、あんさんに最後に言っとくわ、ガリガリすぎるで、もっと鍛えぇや~」
そうしてゴンは俺の眼前から消え去った...




