Radial Flection ~反撃の一撃~
わしがあの男と出会った第13回魔武大会のことじゃった。
何やら新人の選手で魔法をほとんど使用せずに己の肉体を最大限に生かして成り上がっていると...
俄然興味のあるわしとして一目見ようと戦いぶりを見てみると...
「っち、こいつちょこまかと動きやがって!」
大柄な男に対して、体格は良いがどこにでもいる背丈の男。
見た目で判断するのは愚の骨頂じゃが、素人が見てもその差は歴然。
「ストライク!ストライク!ストライク!」
大柄な男はわしも知っておる【ガイ】という選手じゃ。
強靭な肉体と底知れぬタフネスで魔法を連発して攻め込むタイプ。
「よく耐えてやがるな、だがこの連撃に耐えきれるか!?」
拳と脚を使ったストライクとソバットの連撃、工夫こそないもののこうも連打されるとちとやっかいじゃ
「ストロングボーン!」
それは死霊術じゃった、じゃが身体強化までとなると相当な術の使い手か、あるいは死霊術以外使えぬか...
いずれにせよ火、水、雷、土などといったもの以外での一つ習得となると、こやつ相当な手練れに違いないとわかった。
「か、かてぇ!なんだ、魔法で強化したはずの俺が打撃で押し負けるだと?」
「コラプテッドストライク!」
勝負あったの...
「ぐっ!俺の右腕がぁっ!!!!」
奴が放ったあの一撃でガイの右腕はもう使い物にならん
「ボーンプロトゥルーションソバット!」
発想力のあるやつじゃ、己の骨を突出させて脚技のリーチを伸ばして刺す
「ぐがぁっ...」
心臓を捉えたか...
「勝負あり!勝者...」
奴に会うべく、その場をわしはすぐ後にした。
「棒人間か?」
わしを見た奴はぽかんとした表情でそういうと、わしのことを見続けておった
「わしは棒族のアソツじゃ。お主の戦いぶり見届けさせてもらったぞ。どうじゃ、わしと一戦まみえてみんか?」
「断る。」
不愛想なやつじゃった、じゃがその様子から察するにわしのことを全く知らんようじゃ。それはそれで都合が良い...
「やつは確実にわしと当たるな。」
予想通り奴はわしと決勝戦で鉢合わせた。試合開始の合図とともにわしは体制を構えた。
「ストライク」
先手を切ったのはやつじゃった。外見からは俊敏には思えんかったが、見事な速度でわしとの距離を詰め寄った。
「じゃが若いの、ファストステップ」
奴の拳が空振るのが見えた、じゃが前のめりの姿勢のまま奴は前転してきよった
「ストライク!」
「ストロングボーン」
奴のバトルセンスは確かじゃった。空振りも計算されており、身を任せた前転と見せかけつつも防衛をしっかりしておった。
「ウィークネス、ファストストライク!」
じゃが、まだまだ奴は上には上がおることを知らん。
「っぐ、ボーンストライク!」
なりふり構わずに攻撃とは、己が呪文を無効にされただけで焦るとわのぉ
「なん...じゃ!?」
久方ぶりの衝撃にわしも驚きを隠せなんだ
「コラプテッドソバット!」
「舐めるでないぞ!ファストステップ、メタルストライク!」
「お、重いな...」
奴めわしの連撃を受けて膝をつかんとは見上げた根性じゃ!
「ボーンプロトゥルーションソバット!」
「な、わしの一撃で右足はもう折れておるはずじゃ!」
驚異的なタフネスはあっぱれじゃがそれだけでは理解が追い付かん。鉛の一撃をすねにもらって平然と同じ足を使って攻撃を繰り出してくるとっ!?
「じゃがな蛮勇は死を招くぞ!ステップバック、ライトニングソバット!」
「グッ...ストロングボーンストライク!」
なんじゃ、この異様な執念、憎悪や怨念などの深いものを感じるわい!
「小僧、己を見失っておるな。わしが引導を渡してくれようぞ!」
「ハンドオブレイス!」
亡霊の力を身にまとって...こやつ心臓狙いか!
「させんわ、ステップバック!サイドムーブ...すまぬの、全力でいかせてもらうわい!メテオストライク!!」
思い返してみれば、あの時冷静さを失っておったのはわしのほうかもしれないの。
棒族が使える秘術とも呼べる【メテオ】を【ストライク】を複合魔法として放つなど並大抵のものでは扱えぬ代物...
「負けたか。」
その後試合後の奴と話した。奴の抱える問題やおかれた状況。
わしも今のテンプル騎士団の制定する魔法における法令には納得がいっていなかったもんで、すっかり意気投合してしもうた
奴はその後も数回に出てはわしと必ずと言っていいほどに決勝戦で相まみえた。
そして第53回目の大会後に奴は一言去るといって急に姿をくらましおった。
まさか再開するときには元奴隷の女を連れて来るとは奴も変わったもんじゃ...




