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Rat Pul Down ~ネズミの引き下げ~

とある理由で異世界に転生した。

といっても、単純にこの世界に来る前に死亡しただけだ。


昨今のラノベ、アニメなどである転生を果たしたわけだ。

死因は刺殺、単純に前の世界での行いが悪かっただけの話だ。


性格は陰湿、人を心の中で嘲笑して見下すことしかできない、

偽善を振りかざしては人心掌握を行っては成り上がることだけしかしてなかった。


因果応報


その結果転生した世界は俺に対して地獄を見せていた。

この世界が前の世界と大きく異なる点はただ一つ。


魔法が存在するということだ...


この世界でのルールは単純明快、魔法が使えないものは家畜以下として扱われる。

人間以外にも獣人や言葉を話す人外、それらにも適用される簡単なルールだ。


魔法は素晴らしい、無詠唱で発動できて、なんでも大気中に漂う”マナ”なる幻想じみたエネルギーを触媒に発動することができる。


マナを火に、水に、土になんでも変えられる。

術者はただそれをイメージしてマナに命ずるだけで発動することできる。


俺はその中で転生特典もなく、その”マナ”とよばれるものを感じることのできなかった家畜以下の存在だ。


厳密には魔法が使える、無詠唱魔法がこの世のルールであり、詠唱魔法は家畜以下にまんまと適用されるわけだ。


「お客さんよ、このリンゴ買うの?買わないの?はっきりしてくだせぇ」


ふと、説明口調な心中整理をしていたところに恰幅の良い市場の店主が問いかけてきた。


「あぁ、一つもらおう。」


リンゴを一つ買った。代価は金ではなく物で行うのがこの世界での理だ。


魔術は便利な代物だが人々はそれを糧にすることはできない。

稲作を手助けすることはできても、食い物を生み出すことはできないからだ。


「種3つでお願いしやすよ」


この場合の代価はなんでも良いから育てば食することができる種3つの要求で受理される。


「少々高値だな。だが、いいだろう」


支払いを済ませた後はこの場から離れることにした。

すると、前方からローブを纏ったかなり小柄な生き物が向かってくるのが見えた。


膝あたりだろうか、そこに痛みのない衝撃が走った。


「しゅみましぇん」


片言な言葉を言った後に小柄なローブの生き物は俺の目の前から消えていた。

察しはつく、俺の種を奪っていったのだ。


スリも珍しくない、不用心にしていなくとも武力行使で実行されることだってある。

わかっているのならやる事は単純だ。


「スピリット・チェイサー」


無詠唱魔法は使えないが、詠唱魔法で死霊術を会得している。

といっても、過去2つの代償を得て得たものなのことと、この世界では詠唱呪文を使えばたちまち騒ぎになる


「おい、あいつ魔法詠唱者だぞ!」

「衛兵!衛兵!」


複数のギャラリーが一斉に俺に視線を向ける


騒ぎになる前にもう一つ唱える


「グールビジョン」


俺の魔法はすべて無慈悲だ、何もかもが死者の冒涜につながる


「な、なんだこれ!?」

「い、いやぁ、グールよ!」

「ぐわぁ!」


他人の目に映る世界を死者の世界に変える、目くらましには最適な魔法だ。

そして薄緑の日本でいう鬼火のようなものを追いかければスリの犯人の元へと誘う。


「ちゅちゅちゅ、またいいかもがいたでちゅ」


一体どこを走ったのだろうか、いつの間にか風景は町並みから薄暗い地下道になっていた。


「ちゅちゅ!臭いがするでちゅ!」

「きけん、きけんでちゅ!」

「おまえしくじったでちゅ!」

目に映るのは黒のローブに被ったネズミ族と呼ばれる種族だ。


「に、にんげんでちゅ、弓を使うでちゅ!」


一息つく間もなく、おそらくこの地下道に隠れていたネズミ達が一斉に矢を放ってきた。


「ボーンシールド」


「ちゅちゅ?こいつ詠唱魔法使ったでちゅ!」


矢は俺の召喚した骨によって防がれた。

魔法を開口一番使用されなかったのは幸運だ。


「げちゅぅ!!」

「や、やられたでちゅ!?」

「いったい、何をやったでちゅ!?」


一匹仕留めた、二匹目も仕留める。

有象無象のドブネズミ供を仕留める。


殺す、感情が揺れることもなく、相手が喋っていても殺す。


「こいちゅ、正気じゃないでちゅ!!早く魔法使うでちゅ!」


その号令とともに今度は矢ではなく火の玉が飛んでくる...

だが、同じく先ほど詠唱した魔法で防ぐことが容易い。


「げぇ..じゅ...」


ネズミの片目に石を投げつける。

魔法の適性が無い俺はそこまで呪文は使えない、だから行き着いた答えがこれなのだ。


「仲間はあと何匹いるでちゅ?」

「あ、あ、あ、あと5匹で...ぢゅ!!!!」


また一匹仕留めた。


「あいちゅ、あんな距離から何をやったでちゅ!?」

「石でぢゅっ...」


広背筋、二頭筋、三頭筋それぞれに力を入れればその距離も届く。


「わ、悪かったでちゅ、返すでちゅ...だから許し...でぇっ!!」


また一匹仕留めた。


「に、逃げるでちゅ!」


やわらかい感触、地下道の穴から抜け出そうとしたネズミのしっぽを掴んだ。

---ラット・プル・ダウン---


「や、やめるでちゅ!!!!!」


腕はもう頭の後ろにあがっていた。

拳はこのネズミに向けられていた。

残る動作は振り下ろすだけだ。


「ぐぇ、げぇっ、し、しぬ、」


憂いもなく、嘆きもなく、哀れみもなく、ひたすらに拳をこのネズミを殴り続ける。


「ネズミというのはあの程度の投擲で死ぬのだな。参考になった。」


種を奪い返しこの地下道を後にする。


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