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hope the children ーこれは裏の世界で世界を救った子供達の物語ー  作者: 奈月四季
第一章 世界を救うため
8/8

【第七話】魔法学校に入学します

 ーー次の日ーー


「はぁ~おはよう」


 大きなあくびをする。


「おはよう銀ちゃん」


「おはよう、拓美さん。ん、みんなは?」


 寝ぼけて全く前を見ていなかったが、拓美さんをみて気づいた。


「何を言っているんだい。今日は月曜日学校じゃないか」


「あ、え、寝坊?」


 一瞬にして完璧に意識が覚醒する。


 そんな、今まで一度も遅刻なんてしたことなかったのに。焦った時によくなる背筋に冷たい何かがヒヤリとした何かが走る。


「いやいや、学校には急遽手術しなければいけないって停学にしてもらっているよ」


 ふぅ~。焦って息をすることを忘れていた。


「それよりもこれ」


「何ですか、これ」


 拓美さんが手に持っていたのはどこかの学校の制服らしき物。スカートだから女子生徒用か。


「何って、君のだよ。君の」


「え、俺の学校の女子用の制服はこんなのじゃないんですけど」


 見てわかる。そもそもの色が違う。うちの学校のは黒色でこっちは茶色だ。でもなんで違う制服を。あ、まさか俺を着せ替え人形にしようとしているのか。そんな趣味だったし。


「銀ちゃん忘れてないか。君が女の子になった理由は魔法学校の潜入ではなかったか。で、そこの制服」


「魔法学校って、ホグ○ーツ......」


「いや、違う。前に話してた女子校だ」


 あ、そうか。はじめての事がありすぎて忘れてた。それに着せ替え人形はどうやら自分の考え過ぎだったらしい。ホグワ○ツって勘違いひどいな。


「さ、着替えた、着替えた」


「え?」


「え? 言い忘れていたが今日から学校に行くんだ」


 は? いきなり過ぎるだろ。何にも聞いてないぞ。いい忘れたにも程がある。確かに入学するために性転換したけども。あー、もう。着替えるしかないじゃないか。


 それを聞くな否や俺は着替え始める。


「あれ、拓美さん仕事は?」


 もう、裸などどうでもいいと着替えながら聞く。


「君を送ってからいくと伝えた、何せうちの会社のプレジェクトの一環だからねぇ。快く承諾してくれたよ」


「そうですか」


 そうこうしている間に着替え終わる。


「はい、バックと朝御飯のパン」


 バックと共に俺の手に渡される。


「さ、行くぞ」


「はい」


「靴はそれ」


「はい」


 ーー数分後ーー


「よし、ついた」


「・・・」


 思わず言葉を失った。なんと言う大きさ。それに加えて管理の行き届いた綺麗な校舎。俺が通っていた中学校とは大違い、というより比にならないほどだ。まさか近くにこんな中学校があるなんて全く知らなかった。


「今から向こうじゃ話せないような話をここでするよ。まぁ、作戦内容ってやつだ」


「あ、はい」


 校舎にみとれていて少し反応に遅れる。


「普通に学校生活を送ってくれて構わない。だが、情報収集だけは頼んだぞ、実際現地に行ってみないとわからない事があるからな」


「はい、わかりました」


「あと、できたらでいいが出来るだけ多くの魔法を覚えて来てくれ。君は魔術が完璧だ。それを踏まえてなら、法則をも無視する魔法を上手く使いこなすことができるはずだ」


「最初からそのつもりです」


「はは、心強いな」


 拓美さんは微笑み後ろから何かを出してくる。


「はい、ナイフ」


 俺の手にゆっくりとおかれた。え? ナイフ。学校にナイフ持ってくの。


「それでいざと言うときは身を守れ。あとは、自分を呼ぶとき俺じゃなくて、私か僕にしろ地味に目立つから」


「はい」


 俺ではなく僕は二つの要望に対しても返事をする。いきなり私と言うのはなれないので少なくとも私よりは言いなれた僕に決める。


「さて、そろそろいくか」


 僕と拓美さんは車を降りる。


 校門を通る。そこに広がっていたのは全くの別世界。綺麗な木々が植えられ多種多様の花が咲いていた、あまりにも魔法学校と言う言葉がそこには似合っていた。


 周りの光景に見とれながら拓美さんについていく。


「さ、ついたぞ」


 気が付けば職員室の前にいた。


 そしてそこには先生らしき女性が立っていた。栗色の髪にメリハリのしっかりついた体。絶対いい暮らしを送ってるだろと見て察せられる。


「初めまして藤原銀さん」


 その女性はこちらに近づいてきた。


「あ、はい、初めましてです」


 顔が近いぞ先生。


「私は君の暮らすの担任の佐藤美幸(さとうみゆ)です。よろしくね」


「よろしくです」


 いや、だから近いぞ先生。


「えっと、私は仕事があるので任せていいですか? 佐藤先生」


「はい、もちろんです」


「じゃぁ、頑張ってね~」


 軽い、軽すぎる。すごい角度で前に進みながら手をふるって絶対ふざけてるだろあれ。まぁ、それはおいといて今を考えよう。


「さ、そろそろ教室に行きましょうか」


「はい」


 それを聞くと先生は進み始める。そのあとを僕は必死に追いかける。 やはり校舎のなかも綺麗だった。見ていて飽きない。


「ねぇ、銀さん緊張してる?」


 歩きながら先生は聞いてきた。


 答えは「はい」だった。はじめての場所に、女の子として学校に通う。そして潜入としてでも。今にはそれだけの初めてが同時に自分に襲いかかって来ている。ただ、綺麗な校舎に意識を持っていけれたのでそこまでではなかった。


「何も緊張することはないわ。胸を張ってリラックス、リラックス」


 なんかいい感じにいったけど先生、それ、よく言う台詞だから。大体の場合そうやって声をかけるから。


 先生の足が止まる。


「ついたわよ。少しそこで待ってて。」


 先生は教室の中に入って行く。


 僕がまず最初に目がいったのは組とクラスがかかれている、あれだった。


 えっと、1-1? 僕三年生なんだけどな。まぁ、慌てることもないか。深く考えれば拓美さんの事だし勉強しなくてもいいようにあえて下の学年にしてくれたのだろう。情報収集に専念できるように。そう信じよう。


 なんか、転校生みたいだ。案外複雑な思いをしているのだな転校生って。


「銀さーん、入って来てください」


 あー、ついに来ちゃった恒例のあのイベント。


 僕は恐る恐る教室に入った。そこにいる生徒は全員が女子だった。女子校だし当たり前か。軽く自らの考えに突っ込む。


 ざっと30人位か。普通だな。


「えっと、こちら持病で入院していた藤原銀さんです。みんな優しくしてあげて下さい」


 あ、そう言う設定なんだ。なんか、馴染みにくい重い設定だぞ。


「銀さん、自己紹介を」


「はい、ご紹介に預かりました銀です。これからよろしくお願いします!」


 あ、面接練習のせいで無駄に言葉が固くなってしまった。まぁ、どうでもいいか。



 そうやって僕の人生二回目の中学一年生としての生活が幕を開けた。








終わりが見えない(切実)

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