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【第8話 メビス迷宮再び】

「それじゃ、今日は最下層まで行く予定で動くからね。」

「さくさくっと降りてさっさと終わらせちゃいましょう。」

「そうですね、まだいくつの迷宮を回らなきゃいけないかわからないもの。」

「ここのモンスターは初めてなので楽しみです。最初は戸惑うかもしれませんがよろしくお願いします。」

「今回もペナルティーつけて行きますか?」

「いや、所見のソルトくんもいるし、安全第一で!」

「そうですか?モチベーションが上がるので競うのもいいと思うんですが、マスターがそうおっしゃるなら。」

「じゃ、行こうか。」


迷宮10階層までのんびりと歩いて移動したが、いつものように冒険者と戦っている魔物以外の遭遇戦はなかった。レベルが高いのも良し悪しだな。10階層で転移魔方陣を使って30階層まで降りる。そこからはソルトくんとデルが前衛として活躍し、魔物を次々と倒していく。


この辺りの魔物は相手にならないようで、2人ともソロで剣を振るうと堅い甲羅に覆われた甲殻類の魔物があっさり倒れる。まぁ、剣に魔力を込めているので関節を狙わなくても堅い外骨格がサクッと切れてしまうからだけどね。


31階層からは魔物の種類が少し変わってきた。ゴーレムやオーガの上位種が頻繁に出現し、デルとソルトくんが共闘して倒していく。まるで示し合わせたかのように、どちらかが剣で一撃加え、反対側からトドメの一撃。それでも倒れないときは2人同時にって感じで、今のところ危なげなく倒せている。


今回はミーナが防御魔法の多重がけをしているのでたぶん致命傷的なケガをすることはないだろう。32階の到達したが、2人の共闘だけでも十分だし、まだ2人とも魔物の攻撃を一度も受けていない。この辺りの魔物なら、たぶん3週間前ならすでに手傷を負っているはずだ。結構レベルが上がった効果が出ているな。



34階層からは、2人の共闘だけでは苦しくなってきた。ミーナの魔法と俺の剣で少しサポートする。さらに下層に進み、37階層に到達すると、2人の前衛では魔物に押し返される場面が多くなってきた。そして2人の体にもいくつかの傷が見られる。そろそろ限界だ。


俺が前衛になり、デルとソルトくんが左右後方を警戒、ミーナを囲む隊形に変える。やはり俺が前衛だと魔物の出現率が落ちるな。設定レベルを下げて少し魔物の沸きをよくしてから一太刀浴びせ、左右交互に移動してデルとソルトくんがとどめを刺す形で進む。


40階層に到達したが、まだ下があるようだ。魔物のレベル的にはそろそろ最下層だと思うのだが、あといくつあるんだろう。この迷宮は、31階層から下では魔物の多様性もありレベルも高めだ。レベル上げには適した迷宮だね。いつかみんなで遊びに来れるといいな。


42階層に到達したとき、やっと目的の魔方陣を見つけた。魔方陣の横にはモノリスがある。テルビジョンでミルに解読を頼むと『第3の転移魔方陣 資格のあるものは進み出よ』と書いてあることがわかった。


第3ということは、少なくともあと1つは迷宮か遺跡の攻略が必要ということだ。相談の結果、ソルトくんも体験してみたいということで、資格はないが全員で魔方陣に入ってみることにした。


白い世界。またあの時と同じ白だけの世界だ。この後落とされることになるだろうと身構えると、思った通りの声が響く。『まだ早い。資格を得てから出直せ!』といわれて体がスッと下に向かって落ちる。


よし、今回は大丈夫だ。しっかり着地の体勢をとって衝撃に備える。


『ザブンッ! ガバガブゴボ・・・』おい!今度は水の中か!!予想に反して水の中に落ちたので、慌てて息を吸おうとしておぼれそうになった。立ち上がろうとするとなんか足が着く深さだった。今度は俺が他のメンバーの落ちる様子を見てやろうと辺りを見回すと、デルとミーナがこっちを見てニヤリと笑う。くそ、また先を越されたか。


『ザブンッ! ゴバゲホゴボゴボゲホッ!』目の前にソルトくんが落ちてきた。よし!最後じゃなかっただけでもOK!


「ソルトくん大丈夫、足が着くぞ。」

「わ、わかりました。」

「いやぁ、華麗に水没したね。」

「ソルトくん、大丈夫?息できてる?」

「は、はい大丈夫です。」

「よし、それじゃぁ、陸に移動しよう。」

「はい!」「はい。」「わかりました。」


あれ?ルラが効かない。なぜだ?ルウも効かない。念話のテルは伝わるのに、他の魔法が使えないぞ?


「ミーナ、魔法使えるか?ちょっと試してみて。」

「なぜか使えないようです。」

「ほんとだ。テルは使えるのにどうしてだ?」

「仕方ない、歩いて陸に上がろう。」


俺たちは仕方なく歩いて近くの岸に上がった。ここは魔法がほとんど使えない場所。そんな場所に心当たりがある。確かカディア大陸が魔法がほとんど使えない場所だったはずだ。魔力があっても魔法が使えない不思議な大陸。純粋に力と知恵だけの国、リオン王国が支配する大陸だ。


「お前たち、何者だ!」「怪しいやつめ、動くな!」


目の前に完全武装した6名の兵士が陸に上がった俺たちを取り囲んで剣を構えている。移動後早速のトラブルか。念話で抵抗しないようにメンバーに言い、口を開く。


「すまない。アスティア大陸の迷宮の魔方陣に入ったらここに飛ばされておぼれかけたんだ。ここはどこだ?」

「うるさい。口を開くな!」

「とにかくこのまま連行する。抵抗せずにまず武器を下に落としてこっちに来い。」

「わかったわかった。みんな、武器を下に置いて前に進もう。」

「わかりました。」「はい。」「そうします。」


こうして俺たちは兵士に囲まれてピュールという街の牢屋に入ることになった。そりゃぁびっくりするだろう。俺たちが落ちたのはピュールの街を守る衛兵の兵舎の目の前だったのだから。衛兵の目の前に4人も急に空から落ちてくれば誰だって警戒するだろう。


とりあえず、後で尋問があるそうなのだが、1人一枚のタオルを渡されて体を拭けといわれた。魔法のエアが使えればさっと乾かすこともできたのだが、魔法が使えないのでタオルはありがたい。不安になったのでアイテムストレージが使えるか試してみると、普通に出し入れできることがわかった。魔法が使えたり使えなかったりの線引きはどうなっているんだろう。不思議な場所だな。


とりあえず、尋問が始まるまで暇になったので、ストレージから食料を出して4人で分ける。ミーナは女性だからか、隣の部屋に入っているが、鉄格子の隙間から手渡しできたので問題なし。


牢番がやって来て、俺たちが食事をしているのを見てびっくりして上に報告に行った。だって、下に置いたのは武器だけだし、他に何か持ってないか調べられてないよ。何か聞かれたら服の下に隠し持っていたことにしよう。


美味しく昼食を食べ終わったところに先ほどの兵士の3人がやって来た。


「お前たちの責任者は誰だ。」

「俺だよ。」

「ではお前、代表として尋問するのでこっちに来い。周りのものは抵抗するな。暴れたら槍で突くぞ!」


あまり強そうじゃない兵士が、これまたすぐにポッキリ折れそうな槍を構えて威嚇する。槍の棒の部分を掴んで引っ張ったら簡単に武器を奪えそうだ。まぁ、やらないけど。

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