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もうちょっとで転生したらバランスボールだった件  作者: 辛味亭
第01章 ぷろろーぐ
7/31

007.やられたぁ

『これで、交渉は終わりでよいか? もう変更できんぞ』


 疲れ果てたような声だ。

 気のせいかも知れないがな。


「はい。ありがとうございます」


 心からお礼を言った。

 そう、交渉はもう終わったんだ。

 俺の大勝利でな。


『ほれ』


 俺の身体が眩いばかりに光った。


『その身体の処分をどうしようかと考えておったんじゃ。維持費も大変だっだし。良かった。良かった。お主が引き取ってくれるとは。お主の身体を新たに作り直すのは費用がかかるからのぉ。それに比べれば、転生ボーナスなんて安いモノじゃ。生命を作るという一番コストがかかるところをゼロに押さえられたし、初の階段転落ボーナスの身体交換の実績もちゃんと残せたし、有意義な交渉であった。お主には感謝しよう。いやぁ、本当に、良かった。良かった。転生ボーナス100個は超えてもいい覚悟だったからのぉ』


 何?

 このスキップでもしてそうなご機嫌な声は?


「な、何言って?」


 いきなり視線が低くなった。

 下を見ると裸だ。

 黄色っぽい肌ではなく、透き通ったような白だ。

 それに、股に見慣れた超デカい(自称)相棒がいねぇ。 

 一緒に魔法使いになろうと約束した相棒がいねぇ。


 慌てて、浴槽に飛び込んだ。

 って、違う、浴室だ。


 風呂に入りに来たんじゃねぇ。

 全身が映る鏡を見に来たんだよ。


「裸の銀髪の幼女だ」


 で、デジカメは、どこだ?

 いや、違う。

 なんでこうなった?

 俺の相棒が消えた。

 約束したのに、一緒に魔法使いになろうと約束したのに。

 その代わり真っ直ぐな筋が見えるだけだ。

 お腹のポッコリもビールによるポッコリじゃない。


『幼女ではない。8歳のハイエルフの少女だ。注文の多いヤツに予算度外視で身体を作ったのはいいが、ドタキャンされてな。ずっと死蔵在庫になっておったんじゃ。いやあ、良い引き取り手が出来て満足じゃ。生きているものの場合は保管費用も馬鹿にならないからのぉ。ほれ下着と服と装備と多少のお金はサービスしてやろう。もう、お主は、異世界におる。玄関を出れば、剣と魔法の世界じゃ。中堅クラスの国の王都から、半日ほど離れた普通の村の前に出るようになっておる。次の人生は面白楽しく暮らしてくれ。ではな、達者でくらせよぉんぉんぉん・・・』

 

 ヤられた。

 マジ、ヤられた。


 身体は女、中身は男。

 最悪だぁ。


 お湯をかければ元に戻るとか、興奮が収まったら元に戻るとか・・・・・・無いんだろうなぁ・・・。


 他の男の相棒を受け入れる気はサラサラ無いし、女の子と物理的合体は無理、俺はハイエルフという長い一生をユリッ娘で過ごすしかないみたいだ。


 そう言えば、『こちらの条件をひとつのんでくれたら』と言われてた。

 すっかり忘れてたぜ。



 それが、この姿かぁぁぁぁぁ。



 そう、これが、1年前の出来事だ。

 ああ、あの頃はまだ夢があったなぁ。


これで、ぷろろーぐは終わりです。

次回更新をお楽しみに~~♪

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