006.だいしょうり
「これだけ良い部屋だと、バリアフリーだし、バランスボールになっても快適でしょう」
そう、交渉の最終段階だ。
これで、俺の人生が決まる。
『お、おま、お主、これで、バランスボールへの身体交換を諦めてくれるんじゃ無いのか?』
焦ってる。
焦ってる。
神様、焦ってる~。
「今の部屋って、えっと、亜空間ハウスですか? それって、クレーム対応のための転生サービスであって、転生ボーナスじゃ無いですよね? 転生サービスで満足させて、転生ボーナスを無くさせるとか、小狡くありませんか?」
言葉尻を使って、攻めちゃうよ~。
『う、うぐぅ』
「で、どうするんですか?」
強気にでますよ。
この状況ですからね。
この交渉が俺の今後の一生を左右するんです。
引き出せるモノは引き出させるんです。
『み、3つじゃ。ボーナススキルを3つにしてやる。これ以上は、本当に無理じゃぞ』
勝った、勝った、交渉に勝ったぜ。
でも、手を弛めないぜ。
「【けんせい】【かいたい】【ひこう】でお願いします」
そう、同音異義語だ。
ひとつのチートスキルで、複数のチートスキルと同様になる。
「【剣聖】【解体】【飛行】で良いのか?」
すぐに思いついたヤツは、最低限欲しいスキルだ。
【剣聖】剣のスキルの上位のスキルで、戦闘が有利になる。
【解体】素材集めには必須だろう?
【飛行】空を飛べたら嬉しいだろ?
正直、これだけでも、満足だ。
それでも、攻めるぜ。
「たぶん違います。【けんせい】【かいたい】【ひこう】でお願いします」
ほんの少し沈黙があった。
考えているようだ。
『ふっ、そう言うことか。同音異義語とは面白いことを考えるのぉ。あの国の人間らしい考え方じゃ。それも、お主が行く予定の世界では不可能じゃないという。分かった。認めよう。これで、満足か?』
だ、大勝利だぁ。
勝ったぜ。
神様を出し抜いたぜ。
出し抜いてやったぜ!




