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もうちょっとで転生したらバランスボールだった件  作者: 辛味亭
第02章 どれいのさんすけ
18/31

018.ごたごた

『借りて借りて借りて踏み倒す異世界逃走記!?』と同時投稿

 そそくさと、スパインは、出て行った。

 ナトアを追いかけたかどうかは分からないが・・・。


 ビッグフープ家のことは、スパインに任せた。

 もうすぐ9歳児になる俺には手に負えない。


 王様に直訴すれば良いだけなんだけど、そこまでする義理は・・・。



「王様とおはなちしたいんでちゅ」


 幼女モードと言うか、リストちゃんモードで、お城の門を守る衛士と交渉中。

 門は珍しく閉まっており、衛士の数も1人だけだ。

 ここから見える詰め所兼見張り台にも2人しかいない。


 なにか、でかい事件でもあったのか?


 当然、あったんだろう。

 じゃなきゃ、俺もこんなとこに来ていない。

 やっぱり、出来ることをしておかないと寝覚めが悪いしな。


「お嬢ちゃん。そう簡単に言うけどね。王様は、約束が無ければ会うことできないの分かる? お嬢ちゃんは、王様と約束してないよね? だから、会うことも出来ないし、お話も出来ないの」


 目線を合わせて話してくれるのはいいが、端っから取り次ぐ気無し。


「じょうちと、おはなちさちぇてくだちゃい」


「じょうち・・・上司か・・・今、召集がかかってていないんだ。お嬢ちゃんに言っても分かんないと思うけど、伯爵家の息子が馬鹿やってね。今、お城の中はゴタゴタしてるんだよ。上司を呼んであげたいけど、よっぽどのことがないと呼べないんだ」


 それだよ。

 それ!


 その件で来たんだよ。


 まぁ、やっぱり、正攻法じゃ、お城に入るのは無理だよね。


 一応、この国じゃ有名人なんだけど、自分から正体をあかすのって恥ずかしいじゃん。

 芸人がギャグのどこが面白いのか説明するようなモンだし。


 でも、そうも言ってられないか。

 って、なんでこの衛士は俺のこと知んねぇんだよ。


「ケイが来たと、王様に伝えてくれ。ダメなら、サンダリアやバスデューク、ウィンディにでもいい。ジェリド・ビッグフープの件で話があると。これは、身分証の代わりの冒険者カードだ。王家の紋章が入ってるから手荒に扱うとジェリド・ビッグフープのようになるぞ」


 ゴソゴソと服の首のとこから、オリハルコン製のカードを取り出して衛士に見せる。


「・・・本当に貴女がケイ様ですか? 申し訳ありません。私は、地方から推薦で衛士になったばかりで、こちらの情報にまだ疎いんです。貴女がケイ様であることや、そのカードが本物であることを、私じゃ、判別出来ません。ですから、先輩を呼んできます。それと、もし、貴女が本物のケイ様で、私が正体に気付かず、不快な思いをさせたのなら、先輩にそう伝えて下さい。いかなる処分でも受けます。では、しばらくお待ち下さい」


 衛士は駆け足で詰め所の方に向かった。

 見張り台の衛士とやり取りをし始めたと思ったら、見張り台の衛士がひとり消えた。


「ケイ様。上司を呼びに行っておりますので、今しばらくお待ち下さい」


 戻ってきた衛士は、片膝をついてそう言った。

 では、しばらく待ちますか。



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