013.ぴぃぃぃぃぃぃ
力任せに、地面にうつ伏せにさせられた。
ズズズズズっと、いい感じに、白いワンピースとかぼちゃのパンツにダメージがいき、ビンテージ風になった。
かなりよく言いすぎた。
ボロ布化した。
シルク製のいいヤツだったのに・・・素材だけはな。
もちろん、冒険者カードに付いていた銀の鎖はもちろん切れたぜ。
脆いぜ。
マジ脆いぜ。
まぁ、そういう風に作ってもらってるからな。
ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィ
これでもかってくらい、思いっきり笛の音が鳴った。
ゾロゾロゾロゾロと詰め所から門兵が20人ほど出てきた。
俺を囲うようにして、槍の先がうつぶせの俺に向けられた。
「ジェリドどうしたんだ?」
「おう、スパインやっときたか」
スパインって、どっかで聞いたような名前の気がするな?
この声も聞いたような?
「一応、ここでは隊長と呼べよ。で、どうしたんだ?」
聞いたことある云々は別として、かなり複雑な心情の声だ。
不安?
緊張?
似ている心情だが、全く別のように感じられる。
「王家の紋章を偽造して、密入国しようとしたガキを捕獲したんだよ。この手柄でこんな職場からおさらばだ。王家の紋章を偽造するような大悪党を捕まえたんだ。これで、ビッグフープ家の株も上がるよな、そうしたら、些細なミスで、俺をこんなとこに追いやった親父と兄貴たちが悔しがりながら、俺に詫びをいれる姿が目に浮かぶぜ」
「で、その大悪党はどこにいるんだ?」
「ガキを捕獲したって言っただろ? 俺の足の下にいる小汚い小娘だ」
「このかぼちゃパンツの娘か? 間違いじゃないのか?」
「これが、証拠だ。こんな小娘じゃ、冒険者ギルドに加入できねえから、身分証の代わりに実体のギルドカードを作ったんだろう。この紋章は本物そっくりだから、目を疑ったが、これは俺じゃなきゃ偽モンだと判断できねーな。オリハルコンを見たことある俺じゃなきゃ、鉄を軽量化させて、オリハルコンの色に似せた塗装をしてあることに気付かないだろう。この精巧さ、これは、どっかに偽造工房があるぞ。ここまでのできの冒険者カードだ、『冒険者ランクF』ってなってなければ俺も騙されてたぜ。王家に貢献したモノに配られる冒険者カードに『冒険者ランクF』はねぇだろ。きっと、自分にあったランクにしたと思うが、俺はそれでピンッときたね。これは偽モンだとな。よく見てみな、ほら」
ジェリドが投げた俺の冒険者カードは、隊長のスパインの足元に落ちた。
隊長は、冒険者カードをチラッと見て・・・。
「こ、このくそ馬鹿やろうっ!!」
カシャン、カシャン、カシャン、カシャン
背中が軽くなった。
俺を踏んづけていたジェリド・ビッグフープってヤツがすっ飛んで行ったからな。




