012.されるがまま
ドピュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
我慢できずに・・・思いっきり飛び出た。
そうなんだ。
奴隷の買い出しなんだ。
我慢できずに街を【飛行】スキルで思いっきり飛び出ちゃったぜ。
奴隷購入という欲望に負けたんだよ。
仕方ねぇだろ。
1年待った奴隷売買許可証だぞ。
すぐ使いたいと思わねぇか?
奴隷はやっぱり男の浪漫だしな。
ほんと、ギルド長ぐっじょぶだぜ。
でだ、王都に行くって言ったら、冒険者ギルドの受付嬢4人に強制的に丈の少し短い白いワンピースにおめかしさせられた。
くっ殺せ・・・。
見せてもいい白いかぼちゃのパンツが情けなさすぎる。
でも、おかげで音速を越えれたぜ。
【飛行】のスキルでスピードを出している時は外の匂いが分かるように若干風が当たるだけでほぼ無風状態だから実感が薄いけどな。
おっと、見えてきたぜ王都がな。
最短記録の約1分の空の旅。
飛んだまま入ると衛兵が飛んでくるので・・・実際には走ってだが、ちゃんと城郭の門を通らないといけない。
王室の紋章の入った冒険者カードを使えばすぐに入れるのだが、30分ほど並んだ。
今日の門兵は慣れていない新人っぽい。
目の前のことに集中していて周りが見えていないのか?
ベテランなら、飛んできた俺を見つけて詰め所に連れて行くだろう。
この周りの見えていない新人っぽい門兵のせいで並んだんだけどな。
気付かれたのならまだしも、気付かれていないのに詰め所に行って冒険者カードを見せるなんて幼女だけど大人気ない。
それにしても、手際が悪い新人だなぁ。
「そこの小娘、ひとりか?」
威圧するような喋り方。
貴族だろう。
雰囲気からすると、やる気が全く感じられない。
行列がなかなか減らなかったのは、こいつのせいか・・・。
「うん、ケイは偉いからひとりで来れたのぉ」
幼女モード発動!
『リミッター解除+覚醒+バリア』の効果が表れた。
ごめん、ウソだ。
「身分証は、持ってるわけねぇか」
必殺技を喰らわせてぇほど、むかつくぜ。
「ううん、ケイ、ちゃんと持ってるよ」
でも、やらない。
大人だからな。
もうちょっとで9歳だけど・・・。
「だったら、最初から見せろや!」
「う、ごめんなちゃい」
しゅんと小さくなりながら、首にかかっている冒険者カードを門兵に見せた。
貴族で新人っぽい門兵は、俺の顔、カードの裏表を何度も何度も確認した。
そんなことを繰り返しているうちに、貴族で新人っぽい門兵の口元がつりあがった。
あーこれは、あれだ。
手柄に目がくらんで、判断ミスをしてるわ。
貴族で新人っぽい門兵は悪い意味でポジティブシンキングしかしない救いようのないヤツだ。
【拳聖】
保険でスキルを使っておく。
案の定だった。
新人っぽい門兵の視線と手足の動き・・・服の後ろ首のとこを持って、足払いするようだ。
されるがままにしておこう。
そっちのが面白いしな。




