011.けっちゃく
「金貨200枚と奴隷売買許可証だ」
ずっと黙ってたギルド長が沈黙を破った。
「OK」
思わず『OK』をだしちまった。
奴隷売買許可証はずっと欲しかったんだ。
これがないと奴隷を売ってくれないんだよ。
「きたねぇ」
「ギルド長きたねぇ」
「貴族、きたねぇ」
奴隷売買許可証は、貴族のみ発行できて、貴族の収入源のひとつになっている。
ちなみに、転売は不可。
「うるせぇ。これのために仕方なく男爵になったんだよ。ケイよ、こないだ言っていた玉鋼を使った刀ってヤツを頼むぜ」
「と言うか、男爵になれたのって、ほとんどケイたんのおかげじゃねぇか」
「このギルド、王室の指名依頼でポイントを稼いでいるからな」
「ギルド長、剣を貸しな。玉鋼はこっちで準備するから、やっすい剣でもいいぞ」
冒険者ギルドで扱ってる超初心者向けの剣を預かった。
「ギルド長、給料天引きになるようにしておきますね」
夏奈、細かい・・・・・・って、そうでもないか。
では、アイテム袋から砂鉄を取り出す。
右手に剣、左手に砂鉄、剣先を砂鉄に付けて・・・。
【剣製】
後はイメージだ。
柔らかく堅い鉄すら切断するかっちょええ刀。
剣と砂鉄が光り出した。
光が刀を形どっていく・・・鞘はサービスだ。
俺の手には、今は復元不可能な古きよき時代の刀がある。
シャァァァァァァァァァァァァ
鞘から抜くと、反りが大きく、鎬筋、庵棟、地肌は板目肌、刃文は直刃、お持ち帰りして良いですか?
「ギルド長、他のじゃダメか?」
後ろにいるギルド長に声をかけた。
「わりぃな。俺も一目惚れした」
「だよなぁ」
ギルド長と刀を見て、しばらくうっとりした。
「俺らのこと、無視すんな!」
「ああ、そう言えばいたなぁ。じゃなきゃ、ギルド長に刀を作んないか。コイツら、いないことにして、この刀、アイテム袋にしまっていいか?」
「ダメだ。ダメだ。ダメだ。さっさと試し斬りして、俺に刀をよこせ」
「はいよ。そこのわるいひとたち、かたなのさびに、なりなちゃい」
「おいおい、俺のなんだから、錆びさせずに、大事に使ってくれよ」
「てめぇら、いい加減にしろよな!」
「分かった。分かった。相手をちてあげまちゅよ」
【剣聖】
スッとカウンターを降りながら、切先を防具に掠らせるように唐竹の大斬り。
これで1人。
2歩進んで、右切り上げで、防具と剣を斬る。
これで2人。
もう1歩進んで、もう一度、唐竹の大斬りで、防具と剣を斬る。
これで3人。
チンッ
鞘にはを納めると、追加効果で防具が粉々に・・・。
「萌えたろっ?」
反逆者たちは、戦意を喪失したようで、そのまま、崩れ落ちた。
「「「「ケイちゃん格好いい」」」」
抱きついてくる冒険者ギルドの受付嬢たち。
「俺の刀ぁ~」
反逆者のことより、刀が優先の冒険者ギルドのギルド長。
今日も平和だった。




