010.おこづかい
秋奈は、冒険者カードの裏の紋章の埃を払い、龍の顔とその首に食い込んだ剣の図柄の紋章をいけ好かない冒険者たちに見せた。
初代国王が国を興す前のエピソードを元に作られたデザインの紋章だ。
「これで、あなたたちは、王室、そして、国に仇なす反逆者です。偽物だと思いますか? ただ、死罪をかけてまで、あなたたちに、偽物の王家の紋章を見せる意味はありませんけどね」
秋奈の説明で、本物だと理解したようだ。
「な、なんで、こんな小娘がそんなの持ってんだよ。物理的な冒険者カードなんて、王室に関係するような功績を出したヤツとか、Sクラス相当のヤツだけだろ?」
「冒険者ギルドに王室からの常設指名依頼があることが異常だと思わなかったんですか? それこそ、お馬鹿さんです」
「春奈、そいつらの冒険者情報の抹消終わったよぉ」
「夏菜、ありがとう。では、冒険者ギルドにいる冒険者たちにいつもの緊急依頼です。国に仇なす3人の反逆者を捕まえるだけの簡単な依頼です」
「ケイちゃんさまさまだぜ」
「今日も美味しい依頼をありがとう」
「緊急依頼、ポイントも美味しいぜ」
「久々にこんな馬鹿なヤツが来たぜ」
「さっさと反逆者を囲めよぉ。もうワンチャンあるぜ」
「なにがどうなってるんだよ」
「兄貴ぃ」
「てめぇら、ずらかるぜ」
「そうは、させねぇぜ。大人しく・・・いや、派手にやってくれ」
カシャッ、カシャッ、カシャッ
反逆者3人が剣を抜いた。
「キタキタキタァァ」
「ワンチャン、キタぜ」
「今日はラッキーだな」
「こんな馬鹿久々だぜ」
冒険者たちは、反逆者たちではなく、俺を注目した。
「しゃあねぇなぁ」
俺に抱きついている冬奈の貧乳を軽く揉み触りながら押しのけて、冬奈から離れる。
【飛行】スキルを使って、冒険者ギルドのカウンターの上に座る。
王様から貰った絶対に中身が見えないミニスカートのおかげで中身を見られないように気を配る必要がない。
「さて、今日は誰の剣を【剣製】し直すんだ?」
一度、こういったトラブルがあったときに、俺が冒険者の剣を借りて【剣製】して、剣を作り替えたのが始まり。
不埒物が剣を抜いた時に、剣を【剣製】し直してやっている。
平和な街のちょっとした娯楽だ。
「金貨50枚から」
「55」
「60」
そう、お小遣い稼ぎにもなるしな。




