87羽:鬼逐(キチク)してやった
2016年2月3日
実家の節分における『豆撒きルール』。
その1:豆はピーナッツを使用する事。
その2:鬼は平等にじゃんけんで決める事。
その3:前厄、厄年等の人は自主的に鬼となる事。
その4:鬼は滑らない靴下、厚手の服、手袋、ヘルメットそして鬼の面を装備する事。
その5:鬼のスタート位置は、福から隠れた所から出現する事。
その6:スタートは鬼の『はじめ』の合図よってスタートする事。
その7:福は面の装備を必要なしとする事。
その8:福は鬼を見つけ次第、追廻し全力で倒し、家から追放する事。
その9:鬼のリタイヤは認められない事。
その10:鬼も福も楽しむ事。
以上、我が実家の節分における『豆撒きルール』だ。
これは豆撒きであって、ただの豆撒きではない。
鬼と福が戦う神獣戦闘なのだ。
これが、毎年やってくる。
毎年この『鬼逐』を楽しみにしている。
鬼となり何度ピーナッツにより痣を付けられただろう。
逆に、何度親に向かって全力投球して痛めつけただろう。
物心ついた時には既にルールが決まっていた。
そしていつのまにか、ガチで投げていた。
「オニは・・・外゛ーーーーー!!!!」
ミサイル発射。
「フクは・・・うぢーーーーー!!!!」
トマホーク発射。
大豆とは違いピーナッツは大き過ぎで、鬼の被ダメ(被るダメージ)はとんでもない。
ピーナッツ弾はR-18指定のエアガンより遥かに強力で、その衝撃は厚手の服を貫通して皮膚に到達する。
鬼に当たらずに家具へ当たるピーナッツ弾は、一瞬で破裂して飛散する。
勿論ピーナッツ弾に当たった家具は傷が深い。
家中がピーナッツだらけになるまで、鬼は逃げ続ける。
たまに心中染みて襲ってくる鬼に向けて、全力で手持ちのピーナッツ弾を全投する事もよくある。
福は、手持ちのピーナッツ弾が無くなれば、その場に落ちている弾を回収し、鬼を探しては襲い掛かる。
最終的に全部屋を鬼は逃げ回り、玄関から裸足で余儀なく敗走する。
鬼がフクなのか、福がオニなのか解らなくなる乱戦となるのが恒例で、やり切った後の爽快さはたまらない。
しかし、終わった後の掃除はかなり大変で、家具の裏は当たり前。数年経った弾を発見することもある。
それに、たまに弾の破片が足に刺さっていたり、服が破れていたり。
今年の神獣戦闘は、鬼が前厄のダンナ、福はムスメ合わせて4人。
ムスメ作製の鬼面を被り、実家の2階からスタート。
「鬼、駆逐しような。」
「パパ〜、それ違うって〜。」
「鬼発見!突撃ー!」
ダンナとて容赦はしない。
装備の薄い足元に照準を合わせて投げまくる。
ムスメはニタニタと不敵な笑みを浮かべながら、手に当てていく。
飛散していく弾。
悲惨な顔だろうダンナ。
「鬼は、そとーーーーー!!!!」
「鬼は、そとーーーーーっ!!!!」
「鬼は、そどーーーーーっ!!!!」
終わってみると俺は「鬼は、そとーーーーーっ!!!!」しか言ってなかった。
「はぁ。ストレス発散、発散。」
爽快な俺。
「ストレス溜まるって。」
悲惨だったダンナ。
今年の恵方は南南東。
無口で恵方を向いて、恵方巻きにがぶりつく。
・・・・・・・・・・
数分の静寂。
誰も何も音を立てずにただただ貪り食う。
ムスメは意味が分からず、一口だけ嚙った後、大人達を観察しているようだった。
理由はもう少し歳を重ねたら説明しよう。
これで我が家、実家の鬼は駆逐された。
無病息災でありますように。




