31羽:ミラー・ドール
2015年12月8日
子供の遊びの代表。
『お医者さんごっこ』
ただの遊びが、呪いに変わったらどう思う?
ムスメのお気に入りの人形『メルちゃん』。
パイロットインキから発売された、愛育ドールのビニール人形。
『メルちゃん』を筆頭に、妹の『ネネちゃん』や可愛らしい洋服、グッズアイテムが女の子では人気だとか。
ヨメ(ダンナ)も最近、ムスメが着れなくなった洋服で、メルちゃん用の洋服を縫っている。
リサイクルよりも素敵な再利用。
子供もかなりのご満悦。
なのに、なぜこうも怪我や風邪を引かせたがるのだろう。
慣れない手作業で、画用紙で一生懸作る。
たった1枚の画用紙から数々の医療グッズを。
血が滲むような絆創膏。
イガイガしそうなマスク。
冷えない冷えピタ。
それを、メルちゃんの体、口、おでこに、セロテープでガチガチに固められていく。
メルちゃんにとって子供とは。
悪魔。
恐怖で支配するのではない。
動かない体を理由に在られも無い状況へと、魔法をかけられる。
あぁぁぁ。
メルちゃんは満身創痍だ。
怪我や病気になったメルちゃんを約2週間放置。
ムスメは気にも留めていなかった。
その間、俺もヨメ(ダンナ)も風邪をひいた。
しかも長引く。
元気なのはムスメだけ。
病院へ行くも普通の風邪。
インフルエンザのワクチンはしっかり打っている。
悪化はしないものの、弱体化が続く。
見かねたヨメ(ダンナ)がメルちゃんを元気にさせてと懇願した。
まぁ、変な話、もしかしたらメルちゃんが俺らを呪っている。
「ぞんざいに扱う私を救って。」
メルちゃんから只ならぬ負のオーラを放つも、俺らが見過ごしている。
見えていないだけかもしれない。
有り得ないことは有り得る。
有る可能性を排除しに取り掛かる。
「もうメルちゃんを怪我や病気にさせないでね。
元気なメルちゃんが一番かわいいから♪」
うまく言いくるめるヨメ(ダンナ)。
「え~、もうちょっとしたら元気になるから~♪」
まだお医者さんごっこを続けたそうに言いながらも、医療グッズを撤収してくれた。
2週間入院したメルちゃん。
退院おめでとう。
途端に風邪は二人とも治った。
完全にチャッキーだよ。
あれは絶対に呪いだよ。
我が家から悪魔はいなくなった。
夜、工作を始めるムスメ。
またもや、画用紙。
「今度は何作ってるの~?」
不安で聞いた。
「お薬だよ~♪」
あぁ、俺を気遣っての薬か。
4歳なのにちゃんと見てるんだな。
ありがたい。
見守ってると、本当に錠剤が描かれ、切られていく。
「できた~♪」
歓喜のジャンプを繰り返すムスメ。
「ママ~、見て~♪」
ダンナに差し出す。
「あ、お薬だね。よくできてるね♪」
ダンナの顔にも笑顔が。
褒められて嬉しそうに語りだすムスメ。
「うん♪
メルちゃんってー、夜になると病気になるん・・・」
刹那。
「そんなもん、捨てろー!!!!
病気にさせるなーー!!!
もう、呪うなー!!!!
こっちが病気になるわ!!!」
ダンナの会心の一撃。
せっかく作った薬も廃墟処分へ。
いたしかたない。
命かかってますから。
稲川淳二さんも言うだろう。
恐いですねぇ。
怖いですねぇ。
人形は。
人は。
って。
『人は自分の鏡』と言うけれど、我が家の鏡はメルちゃんだ。
魔王はいなくなったものの、最近、メルちゃんが見当たらない。
我が家から卒業し旅立ったのか。
音信不通の行方不明。
いた。
発見。
今日は、ひっそりと本棚へダイブしたまま、うつぶせ状態。
ムスメは、
「ここは雲の上~♪」
「雲設定やめてー!」
雲の上に昇天するには早すぎる。




