25羽:バッハの旋律を朝に聴いたせいです。
2015年12月3日
またもや親父からの依頼が来た。
先日の天草旅行の写真と映像の編集作業。
ここ最近、扱いが荒い。
年賀状の作成依頼もきている。
報酬はあるのか。
データとBGMを受け取り、早速作業に取り掛かる。
まずは、写真、映像の確認。
まぁまぁ、撮れている。
映像の途中、録音ボタンを押したまま移動したであろう映像を発見。
一言さえ発言しない。
道の駅の地面と親父の足元だけが映し出され、鞄につけている鈴だけが足取りに合わせてリズミカルにチャリチャリ鳴っている。
見ているだけで酔う。
『水曜どうでしょう?』を彷彿させる、くだらない映像。
うっし。
嘲笑しながら、採用決定。
昨日、朝一、7:00ぐらい。
BGMを試聴。
一応、聴いてみないと写真に合うか分からないから。
借りたCDはクラッシック音楽。
まぁ、親父の好みだしいいじゃない。
タイトルは、
「音楽の捧げもの」。
ヨハン・セバスティアン・バッハ作。
主題は、ハ短調のテーマで王の命によりカノン様式で即興演奏を行った。
その後、2ヶ月を経て完成された曲。
子供の頃から、親父の聴く、弾くクラシックを聞いていたから、違和感無く耳に入る。
聞いた途端に記憶が蘇る。
この曲は知っている。
複数の音譜が、同じ旋律で、異なるタイミングでそれぞれ流れる。
綺麗なカノンだ。
ハ短調という暗めの曲調が美しいカノンと至妙にブレンドされ、救済的なイメージを静かに灯す。
「天に召されよ。」
空想で祖母は逝った。
おぃぃぃぃぃぃぃぃ。
こんなBGM使えねぇよ!
祖母をあの世に送るような賛美歌らしい曲。
楽しい旅行の思い出も屠られるよ!
「サカナクション」が歌う、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』。
そんなポップじゃない。
こんな心じゃない。
こんな旋律じゃ、直ぐに忘れられない。
直ぐに永眠しちゃうよ。
速攻、親父にメールを送った。
「BGMのバッハ。暗いわ!」
即、返信が来る。
「そうかも、任す。」
軽いなぁ。
自分で選んでおいて。
息子はセンスの無さを痛感しているのに。
「でしょ!
こりゃぁ、安心して逝って下さいみたいになっちゃうよ!」
冗談まじりで送り返した。
「そうかも。あと少しだしね。」
月牙天衝!!!!
漆黒のオーラを纏った刀身で連絡を斬り裂いた。
はぁ~。
子が親の寿命言い切っちゃたよ。
知らないよ。
そんなこと言って。
本当に無配慮な親父。
不吉なメールを拭う様に、もっとポップでファンシーでホープな曲を抜粋。
編集なんてやりたい放題。
適当な妥協点で止めないと収拾がつかない。
見るのは身内だけ。
ゲームと同じ、自己満程度。
『13羽:泣いて馬謖を切れよ!~天草前編~』
の仕返しに、善意有る悪戯な編集を敢行。
1時間少々。
これでいいか~と、作業を終えた。
バッハの旋律を朝に聴いたせいです。
親父のせいです。
昨日は眠れなかった。
音楽は忘れても、軽々しいメールは頭の中を螺旋する。
頼むよ、親父。
次に鎮魂歌とか出したら、そのCDを卍解した天鎖斬月で葬るから。




