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13羽:泣いて馬謖を斬れよ!~天草前編~

2015年11月21日


「泣いて馬謖を斬る」

意味は以下。


蜀(蜀漢)の武将・馬謖が、街亭の戦いで諸葛亮の指示に背いて敗戦を招いた。

この責任をとり馬謖は処刑されることになるが、愛弟子の馬謖の処刑に踏み切るにあたり諸葛亮は涙を流した。

後に蒋琬から「馬謖ほどの有能な将を」と彼を惜しむ意見もあったが、諸葛亮は「軍律の遵守が最優先」と再び涙を流しながら答えたという。

現在の日本では、

「どんなに優秀な者であっても、法や規律を曲げて責任を不問にすることがあってはいけない」

という意味で使用されることが多く、「正史」の記述に則したものであると言える。

マスメディアでは、何か不祥事などを起こし仕方なく処分された人物などがいた場合に「泣いて○○を斬る」などと引用して利用されることがある。

Wikipediaより引用。


このタイトルは使いたかった。

好きな台詞のひとつ。


でも、使うには早すぎる。


それでも、今しかない。



天草旅行1日目。

家を出ると、俺の心を表しているようで、晴れ間はなく、パッとしない曇空。

雨でも降れ。

そう期待したい空模様。


昨夜、腹の虫が治まらない事件が2つ起きていた。


一つ目。

LINEで親族グループを立ち上げ、そこで近況報告のやりとりをしていた。

充分機能してるはず。だった。


旅行に同行する叔父から親族グループへ一通のLINEが届いた。

「明日のスケジュールは?」

は???

親父から連絡が行ってるはずだった。

なのに、今更なぜ?

意味がわからなかった。

「親父から連絡きてると思いますけどー」

単調に返した。でも、何かおかしい。

すぐに返信がきた。

「きてるけど、ファジーだから。熊本何時?とか?」

ん???

意味が分からない。

それに、LINEのグループには旅行に誘われていない、県外の弟のアカウントもある。

やばい…

焦る。


我が子、しかも俺の弟を誘ってないなんて。

旅行の話題すらしていない。

計画しているのは、親父達だ。

誘いの連絡を入れているのも、また、親父。

自分は第三者的存在。

ただ、いい思い出を作る為のコーディネーター。

『俺、知らね〜』

って思ってた。


事態は急展開だ。

知らね〜とか、シラを切ってる場合じゃない。

素直に言うべきだ。

やるしかない。

9羽の行程をコピーして、返信した。

そして、返信直後にお袋に電話した。

「ちょっと、話、全然わかんないんだけど。これ、どうなってんの?」

「ん?お父さんがそれでいいって。」

「はぁ????」

「だから、現地集合でって話」

????

「現地集合って何?俺の作った行程って何?」

もう、訳がわからなった。

「現地って、ホテルだよ。鹿児島から出発する人の予定だって」

「はぁぁぁぁぁ?????なんの為に、誰の為に、何の目的の為に作らせたぁ??そんな話聞いてない!!」

半ギレ。いや、3/4はきてる。

続けざまに言った。

「13人の団体行動じゃないの?思い出作るんじゃないの?弟は?誘ってないのに、あんなメールきたら、ヤバイって。」

感情は、気持ちは、計画は、もうグチャグチャに潰れていた。

「お父さんがそれでいいって、言うから。話はしたんだけど…」

ブチン。最後の一本が切れた。

「もう、いい。好きにすれば。」

ん、も言わさず電話を切った。

情けない、親の行動。


社会人たるもの、ホウレンソウは出来て当たり前。

いや、特に出来るヤツこそが上にいける。

情報の共有化。透明化。

それこそが、大人。

社会人だと。

しかも、身内にこの仕打ち。

ふざけるな。


怒りと悲しみと憎しみと、哀れみが破裂しそうだった。


二つ目。

ヨメは会社の飲み会に行っていた。

約束していた。

『日付をまたがないように帰ってくる事。』

遠出するから運転を代わってもらう。

そういうのはよくある話だ。

だから、改めて約束した。


それにも関わらず、ヨメは容易くも破った。


俺は運転に備えて、リビングで横になっていた。

ムスメは夜中12時まで起きて待っていた。

ヨメの帰りを。

待っても待っても帰ってこない。

俺ら二人は力尽き、リビングの絨毯に崩れ落ちていた。


午前4時。

気づいた時にはムスメはいなかった。

直感で気付いた。

ヨメが二階の布団へ連れて行ったのだと。

それは、それで助かった。

けれども、けれども、更に怒りが込み上げ、眠れなかった。



まずは出水にある祖母宅に集合だ。


とりあえず、ヨメを叱り、マイハウスルールの設定を再度行う。

『遠出前日の飲み会は参加しない』


運転をしながら、正直、その時点で滅入っていた。

しかし、了解を得て、一つは解決した。


しかし、自分たちよりも早く出ていた両親が、まだ到着していなかった。


遅れる事10分。

やっと集合。

10時は等にすぎていた。

計画もクソもない。

本当に、予定は未定だ。

いや、予定なんて昨夜の時点で白紙だ。


取り急ぎ、荷物を載せ、車の乗車者の割り振り。


親父の運転する車には、祖母、叔母。

俺の車には、ヨメ、ムスメ、お袋。


お袋が乗った時点で昨夜の事について問う。

「お父さんにもアドバイスしたんだよ。それでも、聞いてもらえなかったんだからぁ」

全ては、親父か。


夕飯は18:30。しかも、料理の量がハンパないことをここで知る。

頭の中は同時並行で、逆算しながら行程を練り直す。


フェリーの時間をヨメに確認。


11:40分発牛深行きに挑む。

そして、牛深についてから昼食をとる。

牛深ハイヤ橋には行きたい。

どうにか、陽動する。


橋を渡る。

爽快の一言。

天気も良くなり、日差しが眩しい。

心の有耶無耶もなくなりそうだ。


時間は13:30。

橋からホテルまで75キロ。

2時間ちょいか…


93歳のお年寄りにとってはしんどいはず。

ちょいちょい休憩を入れて行っても、16時を回るかもしれない。

18:30の夕飯までにゆっくりできるだろうか。

不安がよぎる。


タイミングよく他県組みからLINEがきた。

「ホテル近くの道の駅にいるよー。」

「休憩入れながらそっちに向かいます」

お袋に返信してもらった。



崎津天主堂が近くなるにつれ、こんなドライビングだけの旅行でいいのか不安になった。


お袋に問う。

「ばあちゃんは、教会とか興味ないんだろうか?」

「みんなと一緒にどっか行ければ、それだけで満足だよ」


俺は、いきなりウィンカーを崎津天主堂方面に出した。

ホテルとは真逆。


思いはやっぱり楽しんでほしい。

みんなにとって、素敵ないい思い出になってほしい。

「寄り道するから、親父と他県組みに連絡して。」


それだけ告げて天主堂を目指す。

崎津天主堂の先の丘に大江天主堂もある。

見栄えと景色は今の時間帯、天気なら、大江天主堂が優先。

崎津天主堂を横目でチラリして、大江天主堂を目指す。

もう、無理やり。思いつき。


丘の上、白い天主堂がはっきり見えた。

確かに綺麗だ。

天主堂到着。

景色はいい。

それよりも、天主堂の中が素敵だ。

宗教には興味がないけど、ムダな知識が景色を想像で掻き立てる。

コミック『聖★おにいさん』

天主堂内に掛かる絵画、物像の内容が手に取る様にわかる。

あ〜。こういうことか。ふぅむぅ。


天主堂を過ぎる頃、心の有耶無耶はもうなかった。

祈ってなんかいない。

でも、不思議に計画とか親父とかどうでもよくなっていた。


目標、楽しむ事。楽しんでもらう事。

内容なんてどうでもいい。

ただ楽しむ。

天主堂への分かれ道際、お袋のセリフから思考を変えた。

それが、功を奏した。



途中休憩を挟み16時過ぎにホテルに到着。

休憩でアイスをドーピング代わりにした事も良かった。

疲れはあるが気力はあった。


温泉に入り、いざ宴会。


祖母の挨拶が突拍子に始まる。

爆笑で会が始まる。


いい!

これだ!


思いつきで、弟にLINEのテレビ電話をかけた。

久しぶりに見る弟、姪っ子達。

電話を祖母に渡す。

「今の時代はこんなんなっとんねぇ」

とか、言いながら喜び涙している。


多分、弟に連絡をしなかった事を悔いていたのだろう親父。

俺の対面に座っている親父。

親父も泣いていた。


これで、いいんだ。これで。


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