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師匠兼友人宅に居候します1

ひたすら、主人公がふりかえっているだけ。

 

 痛い。とりあえず凄く痛い。いや、実際に痛みは感じてないが見ていて痛々しい。


 そう……例えるなら豚の丸焼きならぬ黒猫の丸焼き。長い棒――しかもご丁寧な事に堅くて丈夫とされるクサカの木である――に前足、後足としっかりロープ――犯罪者とか捕まえる魔封じの――でしっかり結ばれている。下にはぼうぼうと燃えている炎の海。


 何が、悪かったのだろうか。師匠兼友人は酷い。ただ、ちょっと頼っただけなのに。怒る要素なんて一つもないはずなのに。とりあえず、解けそうにもないので――今解けても困るが――数時間前を振り返ることにした。





 私の名はアローレス・リッカ。ガイアス騎士団の黒衣隊と呼ばれている隊を率いていた隊長だ。いや、この場合はだったと答えるのが正解なのかもしれない。私は幼いころ冒険者という職業に憧れを抱いていた。

 自分に素直で、何も縛られることのない。それでいて、自分のルールにそって生きている彼らのようになりたい。そう思っていた。まぁ、そう思う道のりは色々あるが今は割愛させてもらう。

 子供の時――確か六歳ぐらいの時にある噂を聞いた。森の奥に住む魔法使いの話を。私は魔法の才がなかった。当時、何でも興味を持っていたモノはなんでもやっていた。なかでも魔法に対する熱意は半端なかった。四歳から二年ほどやっていたが教えてくれた教師は才能がないからやめた方が良いと言われ絶望した。

 他は出来たのにもかかわらずだ。家族――ちなみに父、母、兄、弟がいる。当時は弟は生まれていなかったが――に慰められたが、私は子供だった。魔法に憧れる年頃だったのである。

 噂を聞いた私は家族が寝たのを見計らって森に行くことにした。だが、子供の足で行ける距離などたかがしれていた。着いたのは真夜中。普通は夜中に訪問は失礼だ。しかし、私は子供だった。眠たい中、頑張って歩き着いたのにタダでは帰りたくなかった。ゆえに、二十回ほどノックをし、五分待つを一時間ほどして帰るという生活を一週間ほどした。ちなみに夜の分はきちんと昼寝で補っていた。

 そんなこんなで師匠兼友人をゲットし――魔法は初級のみ無事使えるようになった――、いつの間にか夢?を知っていた父、母、兄に説得されじゃあ冒険者やめて騎士になろうと思い最年少で騎士になり最年少で隊長になった。親や兄の七光りなど面倒などで偽名っぽい――まぁ偽名か――ので名前変えた。ちなみに名前は兄、名字は父が決めた。


 そうして何年か経ちある日巡回の最中に襲撃にあった。魔法禁止区域内だった為か、魔法が使えないという常識が覆されたことに動揺した。それとフル装備じゃなかったことと、襲撃者の顔が全く分からなかった。それでも殺っていたが、数と足場的に圧倒的に不利な状況は覆らなかった。体力の限界も近づき不可能を悟った私は奥歯に仕込んでいた魔道具を発動した。最後に残ったのは喉を切られる感覚と首の骨を折る感覚だった。そう死んだのだ。


 次に気がついたときには、眼の前に自分の死体があった。どっからどう見ても死体である。血がドバドバといまだに流れていたのが印象的だった。で、下を見ると黒いフサフサが眼に入った。もちろん血で赤黒く染まっていた。


 自分の死体である。いや、自分のって言うべきか分からないけど。初めは奇跡的に助かったのかと思ったが、まぁ普通に考えて死ぬ。不老不死じゃあるまいし。


 冷静に考えていき、自分の死体が自分であるときに発見されないとマズイと思った。普通に考えてマズイ。巡回は日ごとに時間が決めてある。本来決めてある時間以降は誰も来ない。ちなみにその日最後の巡回が私だった。つまり腐敗などが進んで判別できなきゃまずいのである。


 考えに考えた私は、後輩を探し出して押し付けるかという考えにいたり押し付けることにした。


 その間にウロウロうろつき魔法が使える事を確認。しかも生前より使えた。言葉も問題なく理解できたし、おそらく喋れることも判明した。ので、私は師匠兼友人宅に居候しようと思い向かったのだ。


 そして、今に…………黒猫の丸焼きにいたる。


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