第2話 俺、フツルギのスパルタ教育始めさせられました。さて、どうしましょう?
それから、俺は家に帰ろうと、倉庫の扉の手前まで来たとき、ふと、あることに気づいた。
「そういえばさ、フツルギは俺の家までどうやって来るのさ?」
少し間を置いて、フツルギが答える。
「私は幽霊なんで。気にしなくても、あなた以外からは私がそうしない限り見えないよ」
彼女は、虫食いだらけの赤いソファーから大鎌を取ると、それは空気にとけるようにして虚空に消えた。
「そっか。ならよかった」
俺はそう言って扉を開けた。
外を舞っていた雪は、いつしか雨になっていた。
俺は、自転車に乗って、全速力で家に帰った。
翌日。
「一記、一記ってば!ねぇ一記!」
綺麗な、リンとした声が、朝の俺の耳を打つ。
「ほら、さっさと起きる!」
俺は仕方なく体を起こす。
すると、目の前に少女がいた。
「うわっ......ってフツルギか。おどかすなよ」
そう言って時計を見ると、まだ朝の4時だった。
「ほら、バカにした奴等を見返したいんでしょ?だったら今すぐ起きて、魔法の練習!」
「なんか強いのくれるんじゃないの?」
眠そうにぼやく俺に、彼女は一喝した。
「そんな都合のいいものあるわけないでしょ!今から、消化する火球を教えるから、さっさと起きる!」
こうして、フツルギのスパルタ魔法練習の日々が始まった。