第10話 (回想) 俺、コーチになりました。さて、友華を挑ませよう。
天地祓流剣の実演をして、友華をいい具合に驚かせて満足した俺は、地球の修復を指弾一回で完了させ、友華を連れて屋敷に戻った。
ちなみに、庭の人工の山を軽く粉砕したり、大きな湖を全て蒸発させたり、岩山を更地にしたり、草原をえぐり返してマントルすら蒸発させて、地球を壊しかけたのは、全て俺とこの魔法武器、天地祓流剣の力である。
まぁ、俺一人でも、銀河系ひとつを軽くブラックホールにして蒸発することも容易いことだが。
天地祓流剣があれば、宇宙一つどころか、次元を全て破壊できるところまで使えるのだから、地球一つの危機位、それに対してみれば安いというもの。
もっとも、それすら手拍子一回でなかったことになるのだが。
「ち、チート過ぎる。なんかもう、チートっていう言葉がぬるいくらいだよ、一記くん」
部屋に戻るなり、彼女はベッドの上に倒れこむ。
「そうだろ?これも、俺が幽霊になれたからこそのデキだ。人間の体じゃ、せいぜい月をブラックホールにして蒸発するところまでが限界だったしね」
俺はそう嘯いて、友華の反応をうかがう。
「生身でそこまで出来てるところがもうおかしいよ普通は。...はぁ」
彼女はため息をついて、ベッドによりいっそう、顔を埋める。
「はは、同じLv135でも、質が違うから、多分俺は最強だよ。俺と契約できて幸運だな、友華ちゃん?」
「また、一記くんはそうやって嘯く。私なんて、蟻を潰すより簡単に潰せる癖に」
「それは違う」
俺は友華に、真剣な声でいう。
「アリと人間じゃ、絶対に人間のほうが難しい。それに、俺は友華を殺したりしないよ。さて、精気摂取の時間だ」
精気摂取の最も効率のよい取り方は『幽霊 初心者専用ガイド』には、経口接触、又は血液を飲む、その他にはあまがみというのが載っていた。
さすがに、彼女から血を抜いたり、痛めたりはできない、というかしたくないので、精気摂取には経口接触による摂取を行う。
他にも、死体を食べたり、生きた肉を食べたり、性的な情動から間接的に取り出したりする方法があるが、効率が悪く、何より時間がかかりすぎるのだ。
それに、俺の精神衛生面上、悪い影響しかない。
俺は、友華の唇に自分の唇を重ね、精気を摂取する。
精気は、摂られ過ぎると、生命の維持が難しくなる。なので、俺はすぐに口を離した。
「何度やっても慣れないものね」
「だろうな」
端からみると、高校生が小学生に無理やりキスしているような構図だが、そこは考えてはいけない。俺の精神衛生的に。
彼女は、精気を抜かれた反動で、汗をかき、体温が上がって、顔も火照っている。
俺は、しばらくの間、回復するまで寝てもらうことにした。
翌日。
「き、緊張するなぁ」
彼女は、ヌーテントに挑んだ。