地震発生後~山田編2~
-------2度目の地震発生後-------
2019/11/30
23:30
山田はマンションに留まることにした。
理由は
このマンションが周りのどの建物よりも新しく免震構造で地震対策されている事
備蓄(主にカップ麺)がまだたくさんあり一人で食べる分を1~2週間分は確保している事
エレベータが止まっており、上り下りが大変な事などである。
玄関を念のため、半開きにし
部屋に戻ると、TVがさらに慌ただしくなっているようだった。
「大津波警報が発令されました!東京湾沿岸にお住まいの方は避難をしてください」
太平洋沿岸に発令されていた津波警報の中で一部の地域の警報が東京湾を中心に大津波警報に変わった
ドドドドド
地響きと共に揺れが起きる
震度4の地震だった。
この地震から余震と思われる地震が頻発するようになった。
山田は特に何もできない脱力感を味わっていると
携帯電話の着信音が鳴り響いた。
着信相手は山田が所属している研究所の上司からだった。
「おぉ、山田君無事だったか」
「お疲れ様です、そっちは大丈夫でしたか?」
「つくばの研究所は無事だったが、新豊洲の支部が悲惨な事になっているらしい」
「あぁ、あそこ埋立地ですもんね~」
「そうなんだよ、揺れている間は資料が飛び散り
1Fの駐車場に避難をしたら地割れがおきてたり、その割れ目から水が溢れてきていたり
その後、避難した近くの公園では2回目の地震の時に遊具が倒れてきて数人被害にあったそうだ」
「散々な感じですね・・・」
「東京はどこもそんな感じらしい
いま生きていて電波が通じて電話出来ているのが奇跡なぐらいだ」
「あぁ確かに」
「とにかく無事でよかった、ネット回線は無事のようだから明日にでもまた別の方法で連絡をしよう」
「了解しました、そちらも頑張ってください」
プチッ
電話を切ったその直後だった
TVと明かりが消え、辺りが暗闇に包まれた。
「停電だ」
と、言葉にした瞬間に電気が復旧した。
マンションに常備されている、停電時用の発電機が動作したみたいだ
電気の供給時間はそこまで長くなかったと思う。
とりあえず、状況整理のためにTVをつける。
けれども、情報はあまり変わっていない
同じような画面を見つつ無心で見続けていたら、津波の到達時間になっていた。
TV画面ではお台場の様子が映されていた
遠くから徐々に迫ってくる津波
海岸沿いで命がけで伝えるアナウンサー
第一波が来た・・・
TVでは徐々に浸水していくお台場が映されていた
必死にテレビ局に逃げるアナウンサー達
波に流される観光客
逃げ惑う人々
第二波が到達したらしい・・・
水かさがどんどん増えていく
お台場はもう陸地がほぼ存在しない
その後もどんどん水かさが増えていく
TVで専門家が海から何度も押し寄せてくる波で水かさが増していると言っている。
「そんなわかりきった情報なんて・・・」
つい愚痴を言ってしまう
だが、専門家と言うのはそういうものなのだと、すぐ割り切ることにした
彼も、お台場でこの恐怖を体験している一人なのだ。
ふと、チャンネルをかえてみる。
あるTV局ではヘリコプターからの映像を流していた。
海から押し寄せる津波がお台場だけではなく、至る所に浸食していた。
幕張、葛西、東雲、豊洲、築地、川崎、横浜
海の周辺にある都市は、お台場のようになりつつあった
特に築地方面は悲惨だった。
築地はほぼ浸水し、高いビルが水の中から顔を出している。
その勢いで銀座にも津波が押し寄せ、人が流されている。
「このまま、行くと有楽町もやばいな・・・
その先は東京やしまいには皇居まで行く勢いだぞ・・・」
TV画面を見つめ、冷静にこの先の事を考えてしまいゾッとした・・・
と、その時
ドドドドド
っと、動きたくても動けない程の大きな地震がまた襲ってきた。
縦揺れを1分ほど感じた。
震度6弱
TVではそう伝えていた。
前回の大きな地震から小さな地震は何度も続いていたが
身動きできないほどの揺れは勘弁したい
と、山田は思った。
TVをお台場の局に戻すと、水かさがさらに増していて
TV局の内部に浸水しているようだった。
TV局の内部では観光客やスタッフを屋上に避難させ
局のヘリコプターで避難させていると、放送していた。
その五分後、お台場のTV局からの電波が途切れた。
他のTV局もいくつか停波していた。
さっきの地震のせいなのか、津波のせいなのかはわからない
山田は嫌な予感を感じつつ、この後の事を考える事にした。