地震発生後~山田編~
-------地震発生から5時間後-------
2019/11/30
23:00
山田は夢を見ていた。
昔仲良かった友との子供時代の夢を見ていたのであった。
夢の中では聡と山下という友達と遊んでいた。
三人はよく冒険して遊んでいて、今回も近場を自転車で回っていた。
水元公園に着いた時に、山下が不意にこういった。
「なんでここを避難所にしたのかな?」
「周りに何も無くて木が燃えても湖の水で消せるからじゃない?」
と、答えてみる。
「だけど地震と一緒に江戸川が氾濫したら水浸しになっちゃうんじゃない?」
聡が最もな事を言う
大雨の降ったあとなどの江戸川の水かさはかなり多い
実際に平成になっても台風などで数年に一度洪水被害を起こしている。
地震が発生するタイミングが台風などに重なったらありえなくない状況である。
「そうだね、だから地震とか起きた時に雨とか降っていたら水元公園以外に避難しよう」
と、山下が言った。
そんな懐かしい夢を見ていると
ズッズズズッズズと体が地面に引き付けられる感覚に襲われる。
「あぁ余震か・・・」
と、思いながら目を覚ますと
次第に揺れが大きくなっていく
ガタガタガタッっと部屋中から音が聞こえてくる。
先ほどの地震では耐震補強を施している棚から本などは落ちておらず
キッチンにある食事机からコーヒーカップがフローリングに落ちている程度だったが
今度の地震は何もかもが違う
本棚はガタガタと揺れ、詰め込まれた本を放出していく
食器棚も耐震グッズを施し、扉が開かないようにしていたが
地震の揺れで乱舞する食器が扉のガラスを貫いてしまっている。
ブレーカーが落ちたのか電気が消えた
揺れは収まらない
外からは爆発音が聞こえる
「最悪な状況じゃん・・・」
揺れの中、避難口を作るためにベランダの扉を開ける
地震が起きた時の対策として壁に背を向けて張り付き体育座りをして
三角空間を作ると良いとテレビで言っていたのを思いだし洋服ダンスを背に体育座りをする。
10分程すると地震がやんできた
「とりあえずは落ち着いたか・・・」
情報が欲しいが
電気が消えているためテレビがつかない
携帯を見るとなんとか電波がつながっていた
ネットを見るといろんな情報が錯綜していた
東京湾沿いの街は地盤沈下が起きていて車を放置して避難している人が
地域は判明していないがトラックがガソリンスタンドに突っ込み爆発事故を起こしているらしい
最初の地震で発生した火災は各地で大きな被害を及ぼしているみたいだ。
そんなこんなでネットで情報を集めていたら、動画サイトで民放番組を生放送で垂れ流しているサイトに行き着いた。
TVでは警報が流れていた。
「津波警報!まさか!東京湾で!?」
2度目の地震も東京湾が発生地らしい
だが東京湾に設置してある地震を計測する機械が故障をしたため
正確なマグニチュードなどの数値は出ていないらしい
ただ、気象庁は東京の最大震度は6強と推定しているみたいだった。
「震度がわかったって、この先どうすれば良いかわかんないじゃん!!!」
大事なのはこの後、また地震が何回発生するのかだと思い、大声で叫んでしまう。
だが、今の化学ではどうしようも出来ない事も理解しているので苛立ちを壁にぶつけるしかなかった。
「とりあえず、この後どうするか・・・」
山田はこのままマンションに留まるか、避難指定区域に行くか悩むことにした。