地震発生~聡編~
-------地震発生30分前-------
2019/11/30
17:30
山田と分かれて家に帰って夕食の準備をしつつ
夕食と言っても火を使う料理ではなく、冷凍食品をチンするだけなので
さほど準備に時間はかからないのだが
ついでにテレビをつけ
チャンネルをいくつか変えて
「この時間はニュースばっかだな~」
と、ぼやきつつ最後に選択したニュース番組に見入ってしまう。
テレビでは年末に向けて買い物をしている人たちに
生放送でインタビューをしていた。
「そういえば、もう年末か」
毎年、時の流れが速く感じてしまうのを実感できる季節がやってきたなと
物思いに耽っていると
-------地震発生数秒前-------
2019/11/30
17:29
携帯電話から3年ぶりぐらいに聞く音が発生する。
その直後テレビからも同じような警告音と共に画面が切り替わる
「地震が来ます。テレビの前の方は安全な所に避難を!」
その直後、ズシン!と重みのある音と共に上下に揺さぶられる
テレビでは非難を求める声とスタジオの機材が倒れる音そして悲鳴
いろいろな音が聞こえてくる。
「こんな揺れの中じゃ、逃げようにも逃げれないよ・・・」
と、アナウンサーも命がけで声掛けを行っている状況を理解する事もできずに
つい愚痴をこぼしてしまう。
3分間程の揺れが落ち着いてきた所でようやく玄関にたどり着いた。
テレビからは先ほどのアナウンサーの声が聞こえてきてるので
アナウンサーは無事だったらしい。
そんな事を気にする余裕ができるぐらい揺れがおさまってきたので
外に出ることにした。
外に出ると町の至る所からいろんな音が鳴り響いていた。
火災報知器がなる音
エレベータが緊急停止した音
車の盗難防止ブザー
外に出てきた人々のざわめき
家が燃えてパニックになって悲鳴を上げている主婦
「みんな逃げろ!火に囲まれるぞ!」
一人の老人がそう叫ぶ
周囲を見渡すと、同じように複数の家が燃えている。
夕食を準備する時間帯だったためにこのような事になってしまったようだ。
我先にと周りの人々が非難する中、先ほどパニックになっていた主婦が
火の中に飛び込もうとしている。
それを制止する人々
どうやら家の中に一緒に暮らしているペットを置き去りにしてしまったようだ。
そんな中、自分たちの周りには火が迫って来ている。
「早く逃げろ!!」
誰かがそう叫ぶ
その声に誘われ、俺は駅の方角に逃げることにした。