表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

救助が来るまで~山田編2~

2019/12/02

15:00頃


28階と29階にある部屋の状況確認を任された山田は29階の各部屋を確認していた。

避難路確保の為に玄関のドアを開けてある部屋は確認が終わった部屋だと教えられていたため

玄関の空いていない部屋は4部屋あり、それぞれのインターホンを鳴らす

1部屋だけ家主が出てきた

2906号室であった。


「は~い、どうされましたか?」


山田は現在の状況を2906号室の家主に話をし、協力をお願いした。

家主は食べ物の備蓄がなかったとの事だった。

マンション内5階にある集会場にそれぞれの部屋から協力者が食べ物等を配っている事を伝えると

家主はほっとした様子であった。


「あと3部屋か・・・」


インターホンを押しても返事のない部屋の事が気になった山田はベランダ側から侵入を試みることにした。

山田の嫌な予感が的中した。

2906号室からベランダの非常用の壁を破り、2907号室に移動をした。


「ひどいな・・・」


2906号室の状況は悲惨であった。

洋室では本棚からあらゆる書籍が飛び出して散らかっている状態だった。

ダイニングでは食器棚が倒れ、皿は割れ、フォーク、スプーン、ナイフなどが飛散していた。

食器棚をよく見ると、周りから赤黒い液体が流れた跡が残っていた。


「マジかよ・・・」


食器棚を持ち上げると一人の男性が倒れていた。

顔は食器棚の重みで潰されていて確認出来なかった。

山田は目の前の状況を理解できず、その場に座り込み動けなくなってしまった。


「山田さん、大丈夫ですか?」


2906号室の家主であった。

山田の帰りが遅いので心配で様子を見に来てくれたそうだ。


「大丈夫です、ありがとうございます。それより・・・」

「あぁ地震の後、姿を見ていなかったから

 もしかしてって思ってたけど、中原さんやっぱり亡くなってしまったのかぁ」


2906号室の家主は顔が潰れた死体を見ても動揺していなかった。

その姿を見て、恐怖を覚えた山田は気分が悪くなり嘔吐をした。

その後も体調が戻らず、山田は残りの部屋の捜索を断念し

集会場へ状況報告と引き継ぎをした後、集会場の仮眠スペースで倒れこんだ。


山田が目覚めたのは3時間後であった。

集会場がなんだか騒がしかったからである。

空を飛ぶヘリに救助を求めに行く担当を任された住人が集会場に駆け込み叫んだ。


「救助隊が来たぞぉ!!!」

「よし、怪我した人から救助隊に引き渡そう!元気な奴は手伝ってくれ!」

「おぉ!!!」


集会場に漂っていた不穏な空気が和らぎ、活気に溢れていた。

山田も気分が悪いままであったが、やっと落ち着ける高揚感で救助作業へのやる気に満ちていた。


マンション全員の救助には2時間ほどかかった。

救助のために日本全国のヘリが駆けつけいた為

これでも早い方だと言われた。

道路は荒れ果てていて無いような状況だったが

戦車のようなキャタピラをつけた自衛隊の車両が大量の人を運んでいた。

けが人などはヘリで病院へ直に輸送されたそうだ。

山田は健常者だったため最後の方の順番でヘリに乗り込んだ。

そのまま、避難所となっている理科大へ運ばれていった。


そして山田の避難所での生活が始まるであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ