3 茄子百選
「今夜は茄子パーティーだ!」
兄を呼び出し、ナンベー以外の同級生も麻雀を餌に招待させる。
何時ものメンバーに茄子を食べさせるだけだと、結花は考えるが……
さて、茄子をどう料理したら良いのかという時点で固まった。
「茄子なぁ……ぬか漬け、生姜がけ、揚げ浸し、炒め煮、麻婆茄子、茄子の天ぷら、焼き茄子、茄子のスパゲティ、カポナータ、茄子の田楽……」
色々と思いつくが、簡単でサッと出せる物が良いとなると難しい。
幸い、今日は珍しく休みなので、結花は作戦、いや献立を考える。
「ナンベーは……違う! お兄ちゃんは一人暮らしやから、和食かな~
ご飯、味噌汁、漬け物、おかずを2品?」
結花はノートに献立を書いた。
お味噌汁の具……茄子!
漬け物……茄子!
揚げ浸し……茄子!
麻婆茄子!
「ええっと、お味噌汁に2個、漬け物は4個、揚げ浸し6個、麻婆茄子8個!
あれっ? 20個しかはけない」
普通は20個も茄子を使わないのだが、結花は大量の茄子に頭がいっぱいになっていた。
それに、茄子だらけの献立が変だとも気づかない。
「もっと茄子を使わないと……品数を増やそうかな?」
どんどんと茄子の呪縛に嵌まっていく結花だった。