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エピローグ 最後に言わせて。と貴女は俺に言った



  もう、ラビとは、お喋りできないけど。

  もう、ラビとは、冒険はできないけど。

  だけど、ラビと過ごしたあのゲームでの日々は、とてもとても楽しかった。

  父様や母様達が、亡くなって、あの仕事を始めてからは、辛いことしかなくて。

  何回も・・・数えきれないほど、枕を濡らして寝た事もある。

  あの生活から抜け出せるならって、モニターになったけど。

  やっぱり、変わらなかった。

  決められたこと以外は、何もしなくても、温かいご飯が貰えて、清潔な服が着れて。

  でも、外出の自由はなくて。

  だけど、寒いのも暑いのも、心配しなくて良かった。

  幸せと言えば、そうだったのかもしれないけどね。

  でも、自分からもう一回生きたいって思えたんだよ。

  ラビや、シャルさんたちに出会えて。

  自分から、生きたいってそう思えた時には、もう時間は無くて。

  現実の自分の身体に居る時でも、水を飲むのも、ご飯を食べるのも辛くて。 

  瞼が重くて、閉じてしまいたいくらい疲れたままで。

  ゲームやネットの中に居る時だけが、安心できて平穏だった。

  ラビの笑顔が、とても優しくて。

  だけど、もう自分が長くないって解った時。

  もし、現実で会えたとしても、哀しませるだけかもしれない。

  そう解っていても、あの手紙を残した。

  だけど、会えた。

  会えたけど、そこまで頑張ったけど、それ以上は無理だった。

  瞼を閉じる時間になってしまった。

  ごめんなさい。

  泣かせてしまってごめんなさい。

  最後に一言だけ、ラビに言いたかったけど、言えなかった言葉。

  ありがとう、大好きでした。




 





         最終場面 最後に言わせて。と貴女は俺に言った。








「ってのが、彼女の最後の気持ちだよ、ラビ。」

「・・・・・・・珍しいね。

 《運命演算三姉妹》としての能力をそう使いたがらないのに。」

「ラビは、過去を話して、僕の糧にした。

 ならば、代価を支払うのが相応と言うモノだろう。」

 過去を話を終えたラビ=アルトに、ヴィル=ミカルはそう代価としてリーチェの話と言うか感情を語る。

 彼女は、アルトに出会えて、幸せだったと。

 自分より年上だったと言えど、それでも、二十を幾つも超えてないだけしか生きていなかったのに。

「ま、それから、姉さんの部屋で、あの女の子写真を見て、本格的に裏に入る決心をして。

 ハッカーとして、ウィザードよりも更に上の《魔導師マジスタラビ》って呼ばれるようになって。

 カルロスの正体が、ラディハルトだって知って。

 そんで、リーチェの外見をカラーリングだけ変えて、性格プログラミングだけ違うロボットプログラムを作って。

 今に至るって感じかな。」

「ラビ、一つ。

 過去・・・・・・《運命演算三姉妹》の長女としての忠告だ。

 まだ、思い出している領域が少ない。

 これから、また思い出していくだろうけど、飲み込まれるな。」

「うん。ありがとう。

 それと、いつか、もしかしたら、近いうちに、《戦乙女》を連れてくる事になるかもしれない。」

「何故?」

「なんか、覚醒してないみたい。

 条件は揃ってるのに。

 そうじゃなくても、《C.C.》の時に記憶がないのは辛いだろうし。」

「出会う予感があるわけだ。」

「うん、《妖鳳王》としての感だよ。」





 こうして、過去を語り終えたアルト。 


 そして、運命の糸車は、狂々くるくると廻り始めた。


 出来上がる糸玉は、何色か?


 幸せな 白色の糸玉か。


 絶望の 黒色の糸玉か。


 まだ解らないけれど。


 糸車は廻り始めたのだった。






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