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プロローグ. 叶えばいいとは思っていた。と貴女に私は言った。







 【Amazing Earth】とは、全世界で親しまれているオンラインゲームである。

 最近は、サイバーダイブシステムと併用される事が多いゲームではあるが、通常のMMOとしても人気作になる。

 数年前に、五周年記念イベントがあった長寿作品でもあるのだ。

 その一つに、自動翻訳が実装されているため、文字通り、世界中の人と遊べる、と言うゲーム。

 作品の世界中にある《始まりの街》から、スタートするモノだ。

 つまりは、基本的に、作品の世界地図は、現実の世界地図に準じている。

 『ゲームマスターに会う』と言うこと以外目的らしい目的の無いゲームで、RPG系というよりは、生活ゲームと言う方が近い。

 一応、その時々で、シナリオやクエストがあるが、何をするかはプレイヤー次第。

 職業にしても、戦闘系・【軽戦士】【魔術士】【盗賊】【召喚士】などから、販売系【僧侶】【雑貨屋】【調理士】【鍛冶屋】など、多岐にわたる。

 年に一回は、新職が実装され、流行り廃りのあるシステム。

 組み合わせやレベル次第では、【魔導師】【賢者】【神官戦士】【魔法戦士】【忍者】【シェフ】【名匠】などに成れる。

 最終ランクの職では、実に中二心あふれるネーミングが満載で、それを他言語でもニュアンス優先で正式職にしている辺り、こだわりである。

 職業の数では、普通のハードでやるRPGに引けを取らない。

 家を持つ事も出来るし、パーティを組む事もだって出来る。

 プレイヤー同士の殺人強盗・・・所謂、PKも認められているゲームでもある。

 その場合、一定期間、強奪したアイテムを売れず、奪い返されるリスクを含めたPKシステムであった。

 しかし、上級職ほど、成長が遅い事も在って一つの上級職を極めるには、それなりに時間が掛かる。

 そこで、『記憶の十字架メモリーズ・ロザリオ』と言うアイテムが必要になってくるのだ。

 それは、『ゲームマスター』に会った証拠と上級以上のダンジョンの最奥エリアでしか手に入れれないアイテム。

 まだ面倒ではあるが、『ゲームマスターに会う』という方法で手に入れるほうが早いアイテムだ。

 なにしろ、このアイテムのある上級以上のダンジョンの場合、レアポップの中ボスからのドロップで、最上級ダンジョンでは、ラストエリアの宝箱のレアドロップ。

 多少、いや、かなり面倒でも、クエスト&ダンジョン難度の中レベルより少々難しい程度の『ゲームマスター』に会う方が楽と言うものだ。

 それを手に入れると通常の十倍以上の早さで、レベルアップできるアイテムなのだ。

 また、これを持っていると好評しているのは、このゲームが始まってから十年近く経つが、日本サーバで現在12名ほどであった。

 強盗されても、一定時間で消えてしまうからと言うのもある。(因みに不売期間よりもかなり短い)

 また、サーバの持つ意味合いが、登録地という程度名せいもあるのだろうけど。

 日本サーバでは、現在持っている人達を総称して、【十二騎士】と呼ばれている。

 その中で、古参に入る一人が、プレイヤーネーム『ラビ=トレッチェル』、通称『ルーティ』、『ラビ』と呼ばれているのが、今回の主人公だ。



      プロローグ. 叶わないとは思っていた。と貴女に私は言った。






 それは、彼が高校に入る前の春休みことだった。


「・・・・・・やっぱ、ログ溜まるね。

 ま、大体は、決闘申し込みか、しかも、レベルの低い売名行為に近い連中ばっか。」

 彼のリアル容貌をある程度、反映させた白いふわふわの髪に、琥珀色の髪で、18歳ぐらいの外見の青年だ。

 スラックスに、ワイシャツにベストという軽装に、レイピアと杖を指している。

 後は、せいぜい、皮製の胸当てぐらいだ。

 まぁ、原料が希少なアルケニーシルクなせいもあり、下級の鉄の全身鎧よりも防御力はある装備。

 外見年齢は、多少、サバを読んではいるが、それくらいは割りとあることである、バラすバラさないは別にして。

 彼は、【賢者】と【忍者】、【銀細工師】、【神官戦士】をマスタークラスまで修め、現在は、【ギャンブラー】をしているプレイヤーだ。

 所謂、廃人クラス、と呼ばれるレベルではあるけども、学校の期末テストが終わるまでログインできなかったのだ。

 久しぶりに、ログインしたようで、最後にセーブした ノースライティアのニユオリトスの街の自宅に、彼はいた。

 現実で言うならば、北米のニューオリンズ辺りだ。

 本拠地は、日本のサイズカイブ辺りなのだが、最後のログインした時点で、こちらの幾つかのクエストをプレイしていた関係で、購入した小さいながらも、しっかりした一軒家であった。

 この街は、上級者か、中級者のなかでも腕の立つヤツしかいない。

 NPCが、それ以下の奴を狩って、調整をしているの上級エリアで、イベント【沈黙の歌姫】の最前線でもある。

 イベントクリアされれば、『歌』関係の新職が実装されるのではないか?と言うのがもっぱらのうわさだ。

 つまり、この街では、販売系ですら、駆け出し戦士よりも、強いと言うある種のインフレが怒っている。

 俗にいう、『手加減一発、岩をも砕く』というノリである。

 ラビは、溜まったメッセージに目を通しながら、ぶつぶつ呟いてる

「あ、シャルから、龍退治の誘いか。残念行きたかったのに。」

「うわ、ムカつく。プレイヤーキルしちゃお。」

「エド、ゲーム止めたんだ。」

 ちなみに、シャルーシャルロットは、【十二騎士】としての同輩だ。

 ラビよりも、やや遅れて、ゲームマスターに会った女性アバターのプレイヤーだ。

 エドーエドワールは、【十二騎士】ではないが、ラビと仲の良かった司祭系統の職業の男性プレイヤーで、アイテムなしだが、マスター職はラビ達に引けをとらない文字通りの廃人だ。

 そして、ある手紙で、ラビは、ブルブルと肩を震わせ、仕舞いには、その手紙を破りかけた。

 内容としては、完結に『三月×日 チュイナのリーレンの《ライシ》に来られたし。聞きたい事がある。

というもの、チュイナのリーレンとは、このゲーム内の中級クラスでも序盤の街で、初心者でも、パーティを組めば来る事が出来る街で、交易の街だ。

 それぞれの始まりの街からでも、転移の門が機能している街。

 別に、内容に怒った訳じゃないく、たまに、ある手紙だ。

 怒ったのは、差出人の方だ。続きは、こう。


 『なるべく、来てね。   GM ヴィルジール=メイシュナー』


 もちろん、『GM』は、『ゲームマスター』の略である。

「アイツが、俺に何を聞きたいってンだよ。」

 ぶつくさいいながらも、相手が相手なだけに、すぐに、移動の呪文を紡ぐ。

「面倒なんだろうけどさ。

 《空間と距離を超え 彼の地に我を送れ

  疾く疾く 疾風のごとく チュイナ・リーレンに送れ 【リネ・ルートラ】》

 嫌になるよ、本当に。」










「ちゃお、ラビ。」

「で、何の用?

 ヴィル、忙しいんじゃないの?」

 街の歓楽街にある酒場ライシの個室で、ヴィルは、既に少し出来上がっていた。

 金髪碧眼で、動きやすさ重視の魔道師系の服装をしている、これと言って特徴の無い青年だ。

 もちろん、架空のなのだが、設定年齢が、16歳以上ならば、酒を摂取できる。

 そうすれば、酔ったのを同じ状態になるのだ。

 通常のMMOモードでも同じく、そういう雰囲気を楽しむ場所だ。

 ちなみに、酔った段階によって、かかる状態異常の状況が変わる、妙に芸の細かいゲームである。

「ん~。

 一応さ、四年前の真実を知っておきたいんだ。

 処分し終わっているとは言え、自分とこの下部組織の暴走だったし。」

「たしかにね、あれで僕は、リーチェを永遠に失ったんだったよ。」

「で、なにがあったの?」

「・・・・・・・・・そこまで、土足で入られると逆に清々しいよ。」

「いやぁ、それほどでも。」

「褒めてない。」

「解ってるって。で、話すの?」

「話すよ、どうせ。

 《C.C.》に、利用されそうだけど、お前が噛めば、それはなさそうだし。」

 文字通り、GMのヴィルは、《御伽噺》や現実の単語になぞらえて、この世界の名称を作っている。

 会社の開発者、と言うだけでなく、その会社の社長でもあるのだから。

 それを知るのは、ほとんど居ないし、『ゲームマスターに会う』と言うクエストで会える彼は、AIであるから、ほとんど意味のないサインであるのだ。

 だから、まぁ、この個室の会話を聞いても、彼らなりの独特の言い回しでやっているとしか思わないのだ。

「で、どっから話せばいい?」

「そのリーチェちゃんの出会いからだね。」

「うん、わかった。」

 こうして、ラビは、リーチェとの出会いから別れを話し始めた。






個人的に好きな話なので、加筆修正してみた。

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