0002.挿入話:優し過ぎた死神【???視点】
第2話にて、早速『残酷描写有』タグ発動です。
2014/05/06 07:08に投稿する為に頑張りました←
でも、手を抜いたつもりは有りません。
これが今の僕の、実力です^^;
彼女は死神だった。
それも『生粋種』ではなくて、『絶滅種系』の死神だった。
本来ならば、人間を怨んで当然、憎んで当然の筈なのに。
彼女は、何故死神になれたのか不思議に思う位に、人間に対して優しかった。
そう、優し過ぎた死神だったのだ。
例えばそう、殺す任務を与えられても、対象が若かったり、強く死にたくないと願っていたなら、任務を放棄してしまう位に、『他者』に対して優し過ぎた。
それが彼女の『個人』としての最大の美点であり、『死神』としては最悪の“罪”となった。
“神の裁き”により、彼女は一度殺され、長く苦しむ『呪い』を掛けられるという結末となった。
何故、任務対象を殺さない事が、“罪”となるのか。
それは『死神というシステム』が、『人類の生命力を落とさない為』に存在しているからだ。
事故や事件、病気や天災、人災によって人が死ぬ時には、特殊な霊的波動を発する。
それが『人類の種としての魂』に作用した結果、生命力の低下を防ぐシステムとなっているのだ。
外敵のいなくなった種は、『生命力を維持する必要性』が低下し、徐々に弱体化していく事となる。
戦わなくてもよくなった戦士は、怠惰な日々を送ってしまい、やがては痩せた老人か、醜く肥えた老害と成り果ててしまう。
故に若さを、戦闘力を維持する為のシステムが構築されており、それこそが『死神』という存在だった。
天災では被害が出過ぎてしまう。たまには必要だけれども、微調整には使えない。
故に個人の魂を砕き、個体を弱体化させる事により、『種としての魂』を、『種そのもの』を守る。
特別な知性を持つ種族だからこそ、滅びたりしないよう『管理』されているのだ。
そしてその『管理』には、現場に出る階級の死神も、当然含まれている。
人類並の知性を持ち、下級とはいえ神の力を宿す彼らが、管理されない筈が無かった。
彼女の罪とはつまり、『管理される側の存在が、管理する側の存在に逆らった』罪に他ならなかった。
彼女は一度殺された後再構築され、上級死神に操作される人形として創り変えられた。
“かつての意識を保ったまま”の状態で、勝手に身体が動き、勝手に魂を刈る光景を、一番近い場所で見せ付けられ続けた。
しかも見せしめという一面もあるのか、かつて彼女が見逃してきたようなケースばかりを、次々と処理させられ続けた。
来る日も、来る日も、心が壊れたり、発狂する事すら許されずに。
慈悲の無い方法で、強制的に“己の有るべき姿”を納得させられたのだった。
“罰”を受け続けた彼女は、ある存在を創る為の主材料となる事により、ようやく『呪い』から解放される事となる。
“己の有るべき姿”を体現する存在となった彼女は、今日も任務に備えて、愛銃を整備しているのだった。
せめて週一以上のペースで、更新したいとは思ってます。
ちなみに、今話ですが、彼女に聞いたら、過去……というより前世?を教えてくれたので、それを書きました。
彼女の過去の友人の話を書こうとしたら、「過去の友人じゃなくて、私自身の話だから」って修正された感じです。
不思議ですね、こういう感覚は。