表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

0001.生涯の交差点

 ナツさんの活動報告で、この企画の存在を知り、試しに書いてみました。

 百合なのは、僕の趣味です(真顔)

 

 名前の理由に関しては、後書きをご参照下さいませ。

 そして、口調が難しいです……^^;

 

*************

 

「……あれ?」

 

 私が()()()()を殺そうとした時、まるで不可視の壁に弾かれたかのように、その攻撃は防がれてしまったのだった。

 

*************

 

 人間達は、『死神』という存在に対して、どのようなイメージを持っているのだろう。

 黒い服を(まと)い大鎌を持った、骸骨(がいこつ)

 黒いノートを持った異形の悪魔?

 あるいは、大量殺戮者(ジェノサイダー)を思い浮かべる人も、いるかもしれない。

 別にそれらは、間違ってはいない。

 間違ってはいないのだが……。

 

「ナンセンスだわ」

「んー? 私がどうかしたー?」

 私の独り言に反応する友人を見て、そういえば名前が酷似してるなと内心苦笑しながら、疑問を話してみる事にした。

 多分彼女なら、『どうでもいい』の一言で斬って捨てるだろうけど。もしかしたら気まぐれで、付き合ってくれるかも知れない。

「ナムセヌス、貴女の事じゃないわ。ただナンセンスだと、少し思っただけ。……ねぇ、どうして人間って、死神に対して特別な『何か』を求めるのかしら。大鎌だとかノートだとか、確かにあれば便利だけど、まるでそれが無いといけないかのように、思うのかしら。そういった人達って、鎌やノートが発明される前は、どうやって死神業を行っていたとか考えないのかしら」

「なはは、セシリスは相変わらず人間が好きだねぇ。別にそんなの、どーだって良いじゃん。神話とか色々作ってるくせに、『最初の神がどこから来たのか』って、考えない連中だよ? まぁ最近はそうでもないかもだけどさ、どうせそこまで考えてないよアイツらは」

「人間が好きだってのは、別に否定しないわ。逆に貴女は、相変わらず人間嫌いみたいね」

「当たり前じゃん、そんなの。だって私、『絶滅種系』の死神だもん。私の種族を根絶やしにした人間には――うん、憎悪しかないね。だから死神やってるんだし」

 

 『絶滅種系』。その言葉を聞いて、私は失言に気付かされた。

 そう、普段の明るい、ポケポケな性格からは想像出来ないけれども、彼女は確かにそうだったのだ。

 かつて人間に滅ぼされ、抹消された種族達。そういった種族達の、『種としての魂』を、浮かばれない負の感情を元に生み出された死神、それが『絶滅種系』の死神だった。

 生存競争の果てに敗北し、絶滅したというのなら、諦めるしかない。強者が生き残り弱者が滅びるのが、世の(ことわり)なのだから。

 だが自然の摂理などではなく、愚かな人間の欲望によって滅ぼされてしまった種族達が、何故(なにゆえ)に諦められるというのか

 自らが生きる為に滅ぼすのではなく、娯楽によって滅ぼされた種族達の魂が、どうして(うら)まずにいられるのだろうか。

 故に、主神は()(もの)たちを元に、新たな死神を作ったのだ。

 死神として人間を殺す事により、いつかその苦しみが癒えるように。

 そして、いつの日かまた、恐らく違う世界になるだろうけれど、新たな種を生み出す命の息吹となる為に。

 ……もっとも、万一人に見られてしまった時の為とはいえ、人間型の身体を与えられてしまってる以上、癒える日など来ないのではと、私は思うけど。

 (まれ)に私達が視える人間がいるから、必要な処置と言えばそれまでだけどね。

 

 世界が違えど、人は人。

 許されるならば、直ぐにでも人間を滅ぼしたいと、彼女は思っているのだろう。

 それをしないのは、単に主神が禁じているからに過ぎない。

 異世界生まれの彼女は、そう在りたいからポケポケしているだけで、その胸中に悪魔さえ殺す何かが住んでいるのを忘れていた。

 許されるならば直ぐにでも滅ぼしたい程に、人間種が憎いけれど。

 かつての純真だった魂を、少しでも覚えていたいから。

 

 どこまでも冷たく、(くら)い炎を(とも)した瞳を見て、迂闊(うかつ)な発言をしたことを、少しだけ後悔した。

 そして、ここで“少しだけ”なのが、私が『生粋(きっすい)の死神』で有る事の証なのかも知れない。

 人間の命を奪い続ける死神の、言ってみれば職業病。

 任務対象の心境など考えてしまっては、手を(くだ)せなくなってしまう。

 故に、『他者』には、ドライにならざるを得ないし、そうなるように私達『生粋種』は創られている。

 世界を渡り、一応最終目標として命の息吹を(かか)げる『絶滅種系』には、かつての(ぬく)もりが、多かれ少なかれ残っているけれど。

 『生粋種』は、世界を渡れずに、もし世界が滅びれば運命を共にするが故に、温もりなど『身内』相手だけで充分なのだ。

 いずれ異世界に旅立つ『絶滅種系』は、“仲間”ではあるけれども、“友人”でもあるけれども、“身内”でも“家族”でもないのだ。

 

 だから、私は。

 

「『生粋種』の私としては、よく分からないわね、そういう感情。だけど友人として謝罪しておくわ。迂闊な発言をしてごめんなさい、ナムセヌス」

 

 さらりと流したその言葉で、失言の事を流してしまうのだった。

 謝罪すらも、友人という立場(ゆえ)の事。

 ドライで冷たいのは分かっているけれど、それが私――セシリス・アトラクト・カーパスの有るべき姿だから。

 

*************

 

「どうして……貴女は生きていられるのかしら? コレを受けて、生きていられる筈がないのに」

 

 私は、愛銃アトラクトを手にしたまま、()()()()()()()()彼女に問いかけていた。

 それはつまり、私や愛銃が見えていて、尚且つ弾を(はじ)くだけの何かを持っているという事だから。

 均整の取れた6枚の白い花びら――愛銃に刻まれた私の固有(パーソナル)マークを思わずなぞる私に、彼女も聞いてきた。

 

「えーと、1つ聞いてもいい? どうして私が殺されなきゃいけないの? 別に犯罪した訳でもないのにさ」

 

 それは任務だから――そう言い掛けて、それでは人間の暗殺者みたいだと気が付き、言い換える。

 

「それは私が死神で、貴女を殺すよう上から命令されているからよ」

「死神なんて本当(ホント)にいたんだ? しかも銃を使うって、非常識過ぎ」

「まぁ否定はしないわ。ただ便利だから、私はコレを使ってるだけ。ところで、私の質問にも答えてくれるかしら?」

「上とやらから聞いてないの? 多分遅かったんだね。私は既に『契約を終えて』いるから、それでじゃないかな」

 

 私は彼女に愛銃の照準を合わせたまま、彼女は私に視線を合わせたまま、対峙する。

 互いに、目の前にいるのが油断できない相手だと、気付いているが故に目を離せない。

 同僚――ナムセヌス・テウクリウムが異変に気付いて駆けつけるまでずっと。

 ただただ、私達は見つめ合い続けていた。

 

*************

 

 私は知らなかった。

 彼女が『どういう存在なのか』を。

 そして、私が彼女――天宮(あまみや)カレンを、愛するようになるという事を。

 ラプラスの悪魔ではない私には、分かる筈も無かった。

 

 死神:セシリス・アトラクト・カーパス。

 契約者:天宮カレン。

 

 私達の生涯は、あの日あの時をもって、交差したのだった。

 お読み頂きありがとうございます。

 さらりと某漫画ネタが含まれてますが、深い意味は有りません。

 死神繋がりで、出しただけです。

 今後の流れによっては、ノートは削除……もとい、割愛するかも知れません。

 

>名前の由来

 

【主人公:セシリス・アトラクト・カーパス】

 

*アトラクトカーパス・セシリス

http://cairns.nu/2013/10/Atractocarpus%20sessilis/

 

 ケアンズ辺り固有の、アカネ科低木が名の由来です。

 『セシリス』という名前が最初に浮かび、ググったら↑のページに辿りついたのですが、綺麗な花だとおもったのと、何となくイメージが合ったので、採用しました。

 名前形式としては、『個人名・装備名・家名』となっています。

 セシリスの場合は、アトラクトという愛銃(リボルバー)を使っている為に、ミドルネームが有るのです。

 勿論6弾タイプで、全体的に白い配色となっています。

 個人マークの周辺だけ、つや消しのダークシルバーで地を作ってる感じです。じゃないとマークが見えないので。

 

 

 

【絶滅種系:ナムセヌス・テウクリウム】

 個人名に関しては、『ナンセンス』に近いのをという、それだけの名前です(酷い

 後者は、

 

*絶滅した植物一覧

http://ja.wikipedia.org/wiki/絶滅した植物一覧

 

 の『再発見されたもの』項にある、

 

ファフィドスポラ・カバーナルムRhaphidosporacavernarum

テウクリウム・アジュガセウムTeucriumajugaceum

ハツシマラン

 

 の中から取りました。

 

*絶滅したはずの植物135年ぶり発見

http://ouroboros.iwamosa.net/?p=162

 

 にて、テウクリウム・アジュガセウムに関しては、写真を見ることが出来るようです。

 画質がもうちょっと良ければと思ってしまいますが、そこは仕方ないですね。

 まるで天女が着る服かのような、薄紫色の花びらが、素敵だと思いました。

 だからこそ余計に画質がry

 まぁ、カラー写真が見れるだけでも、ありがたいですね。

 ちなみにナムセヌスさんは、絶滅種系、つまりは人間を憎悪している死神です。

 だからかは分かりませんが、彼女は素手で魂を刈り取るようです。

 裏設定として、別世界に存在した、風獣種だったというのがあります。

 この世界でいうならば、羊的な存在ですね。

 軽くて丈夫で温かい毛が取れ、また肉も美味である事から乱獲され、気が付いた時には十数体程度しか残っておらず、人工飼育も試されるも失敗、絶滅を避けられなかったようです。

 

【契約者:天宮カレン】

 

 八属性の魔法がある世界なのですが、彼女は全ての魔法を使える稀有な存在です。

 そこから何となくで、天宮という姓を決めました

 カレンは単に響きで決めましたが、ギリシア語で『純粋』という意味の言葉が由来のようです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ