育む
そこはまっさらな平地で地平線の向こう側に
微かに認める極小の芽
私に救いを求めているのだろうか
壊れそうな色さえも見つけられないその芽を
私は見つけてしまった
そっと触れると土に薄く根を張り付け離れようとはしないから
私は水をあたえ風が吹けば手で覆い長すぎる雨には傘になり
害虫と戦い雷に怯えている芽に語りかけたりする
灼熱の太陽に悪態をつきながら芽と共に氷を頬張る
そのうちに芽に色が見え鼓動が強く鳴り響き
芽は自ら根を引きちぎり去っていった
私は想い出を回顧して笑っている
芽に幸あれ花になれと願っている
このようなものでも愛というのなら
私はこのようなものがいいのだよ