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CASE 2 御神山 英也
管理室と外界をつなぐ小さな窓口を覗き込めば、その男はすぐに出てくる。
少し癖のある髪と人懐っこい笑顔は子犬を思わせる愛くるしさだが、度を過ぎた愛想のよさは同時に彼の孤独をも物語っていた。
彼は親をなくして久しい。遺されたこのマンションの管理人という職で糊口を塞いではいるが、小部屋に一人きりで閉じこもって過ごす仕事は単調で、寂しい。
だから彼は誰にでも笑いかけるのだ。たった一人をのぞいて……
――姫路さん? いい子だよね、ちゃんと挨拶してくれるし……こんな田舎のマンションでも最近の若いやつはなんていうの? 気取って挨拶すらしないやつもいるのよ。
そこいくと、姫路さんは……ねえ?
僕と姫路さんの関係? 大家と店子、それ以上に何があるっていうのさ。
まあ僕としては、それ以上があっても大歓迎なんだけどね。
姫路さんの部屋に? もちろん、入ったことがあるよ。管理人としての業務上、そういうこともあるでしょ。
ところで、姫路さんはいつ、ここへ帰ってくるのかな?
……あ、そう。当分無理……そっか。




