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フィクション  作者: 神風紅生姜
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もう一人

“用語集”


ジオン:

サイド3に拠を置くスペースコロニー国家。

元々は地球連邦に自治されていたが独立戦争を仕掛けた。

現在国家は解体されている。


MS:

モビルスーツの略称。

人間が搭乗して操縦する人型の機械。

用途や目的で10m~100mと大きさは様々だが全長20m前後が一般的に用いられる。


ニュータイプ:

人類の進化系とされる。

多様な解釈があるが洞察力や直感力に優れた人間を指す事が多い。

また空間認識能力やサイコウェーブを用いて特殊な現象を引き起こす存在とも知られ『エスパー』と呼ばれる事もある。

『NT』はその略称。


コア:

『オリジナル』や『ブレイン』とも呼ばれる謎の物。

宇宙世紀初期から存在が確認されているが遥か旧世紀からあったとも言われる。

ジオンは極秘にこれの研究解析を進めていたが現在は所在不明。

同じ頃。


貴族の様な金の刺繍で装飾された軍服を纏う男が眼前に広がる青い星を眺め再会の時を待っている。


男はため息の様に呟く。


「そろそろか…」


男の隣には身の丈190cmはある長身で黒い短髪の軍人が控える。


「内通者の話では新造艦の完成が遅れたとの事です殿下」


「そのようだな」


二人は超大型スクリーンに投影された母なる星を眺めて何を思っているのだろうか。


部屋は中世ヨーロッパの宮殿を模した美しい装飾が施され、床と壁は大理石の様な白く美しいマーブル模様、部屋の広さから小規模なブリーフィングルームかパーティー会場のようだ。


殿下と呼ばれた男は呟く。


「10年だ」


「はっ?」

「いや正確には13年か、連邦の黒い鷹…」


「あぁ… 地球では反政府テロで御活躍だそうですね」


「腕をあげたよ、本当に待ち遠しい」


「そうでございますね」


殿下は肩の辺りで緩く纏めた朱く長い髪を翻しドアの方へ向かう。


それを見た長身の軍人は右手に持っていたリモコンでスクリーンを壁と同様のマーブル模様に切り替え、歩き出した殿下を追い抜きドアを開ける。


二人は格納庫へ向かう。


庫内では壁際に立たされたMSが3機、整備の為に仰向けに寝かされた機体が1機。


二人は作業員が使う高所通路(キャットウォーク)からそのMS達を見下ろした。


「まずはお前がファーストコンタクトをとれリューク」


「はい」


「その間私の隊は周回軌道上で根回し済みの人工衛星に取り付き衛星の望遠鏡をハッキングしている。そして奴らの降下まで待ち降下後の奴らの目的地を特定、その後お前達と合流し降下だ」


「この作戦で行けますでしょうか?」


「愚問だな。地球の人工衛星のほとんどは既に骨董品だ」


「しかし連邦軍の船に見付かる危険も有ります」


「平和ボケで御役所仕事の連邦だ。パトロールの目は穴だらけで意味をなしていない、戦艦ならまだしもモビルスーツ3機ならその穴をすり抜ける。見付かったとしてもデブリと思うさ」


「たいしたお方だ」


リュークの口から感嘆の言葉が漏れる。


部下の言葉を軽くあしらう様に笑う。


「何を言うと思えば… どのみち危険である事は承知の作戦だ。用心は怠るな」


「ハッ!」


軍隊式で快活の良い部下の了解。


殿下は壁際の左端に立つ白いMSを見る。


機体のシルエットは連邦製MSの様な直線的なデザインでシャープな印象を与えるが、ヘッドは一年戦争でジオンが使ったゲルググに似ている。

ランドセルには後方へV字に伸びる角型の4本の大型バインダーが装備されているが、それはバインダーではなくメガ粒子砲を搭載した4機の大型ファンネル(無線誘導兵器)でオールレンジ攻撃を可能にしている。

そのファンネルの間から頭部の後ろへ垂直に伸びた棒状の物は試作された超大出力の巨大ビームサーベル“フランベルジュ”

ランドセルから供給されるエネルギーを直接充填する為に柄から直線上に伸びたソケットが存在し、その部分は文字通りランドセルに刺さる様になっている。

フランベルジュはビームサーベルの最大出力を求めて開発されたもので刃を発生させる時間は30秒程しかないのに対し再使用には140秒の充填が必要であるが、切れ味はシリンダー型コロニーのミラーを簡単に切断出来ると言えば想像しやすいだろう。

発生させるビームの形状は片刃の包丁に近いものだ。


他に両腕には射速性能の高いビームカノンが内蔵されている。

携行武器は一般のアナハイム製ビームライフルとビームランチャー、その他ブッホコンツェルン試作のブランドマーカーと呼ばれる攻守一体小型ビームシールド等、汎用機と専用機の中間的な機体である。


「このゼノで遊んでやる」


「ヴァロル殿下専用のカスタム機ですね」


「付け焼き刃だがこれなら十分だ」


「今時ファンネル搭載機で相手しなければ落とせない敵機と考えると“王牙”はそれ程の機体ですか?」


「あれには“コア”が積まれているからな、それを使われたら20機はMSが堕ちる」


「“コア”ですか…」


「“オリジナル”と言った方が正確かな」


その言葉を聞いてリュークはようやく理解する。


「実在したのですか!?」


「ああ、得体の知れない物の代表的な存在だな、あれが現在のサイコミュシステム(脳波制御装置)の原形さ」


「都市伝説の類だと思っていました」


「だが実際に存在する。旧ジオンの時代からの最高機密であったが、まだ技術的な進歩の拙い時点から人体実験も行ってしまったので幾人も犠牲になった、おかげで公国の幹部でも一部しか知らないハズの最高機密も戦争が始まった時点では軍の下士官すら噂話をしていたからな」


皮肉含みに笑う殿下の顔はやはり彼に似ている。


「それより俺の機体に乗る気はないか?」


「はっ…?」…










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