悪寒
ブリッジと通信を終える。
「…本当に気のせい?」
思わずそんな言葉が出た。
パーソン機から攻撃が続く中。
宇宙にとても強い輝きを放つ流星が翔け、それが私を捉えた気がした。
流星は何かとてつもない“何か”に真っ直ぐ向う。
だがその“何か”が解らない。
光とも闇とも解らない“何か”…
強い輝きを放つ流星より遥かに巨大な力…
「休む暇は無いぞ!」
無線からパーソン中尉の声が鳴ると共に三時の方向から直撃コースの閃光が迫る。
「…!!」
慌ててペダルを踏んで緊急回避しビームが機体に直撃するのは避けたが、右肩を掠めコクピットへ軽い振動が伝わった。
アラームが鳴り響き私の鼓動を早める。
「被弾した!?」
コンソールパネルを操作しアラームを止め被害状況をモニターに出す。
幸い損傷は実戦出力に換算しても掠り傷程度で支障ない。
「遠くの力に気を取られ過ぎた!」
こんなミスをすると思ってなかった。
「集中切れてきたかー? 模擬といえ一対一の戦闘時に無線に気を取られる様じゃ撃墜されて仕方ないな」
挑発のつもり?
こっちはわざと弾を外してるのに。
「ミノフスキー粒子のおかげで内容は聞き取れなかったが随分舐めた真似するじゃねえか!」
武装をサーベルに持ち替えたパヴヂガンが迫る。
彼の斬撃をかわし私はパヴヂガンの背後に組み付き接触回線で話し掛けた。
「中尉はこの大きな力を感じないの!?」
「何の事だ! 外は俺達以外誰もいない!!」
この人は恐ろしくないの!?
あれは確実に私達の動き総てを捉えてる。
「そんな子供騙し!」
パヴヂガンは組み付いたハンドレットを強引に振りほどき、左腕に装備されたライフルの銃口を至近距離で向ける。
避けれない!?…