学ぶ
魔法、というものは思っていたよりとても興味深いものだった。
というかかなり面白い。
人にとって魔力とは増減はあるものの誰しもが有するものであるらしい。
魔法は魔力を利用し、更に呪文や陣によって形作る。このあたり王道だ。ファンタジー小説にありがちだがそれゆえに理解しやすくもあった。
ただし、魔法を行使するには幾つかの段階を踏まねばならないとのこと。
1に認識
2に呪文
3に利用である。
2と3はなんとなく理解できる。では認識とは何か。
これが魔法を使えるかどうか二分する重要事項らしい
「要するに、自分の中の魔力を理解するって事だな」
<例えば、魔力の量だったり、自身の使える魔力の系統だったりだな。>
<主の場合は魔力量は無限で魔力の系統も全部だよ>
「無限に全部って・・・・」
系統というのは、簡単に日本風に言ってしまえば五行のようなもので、これが重要らしい。
例えばルーファは火系統。金(金属)の系統にはもっぱら強いけど、水系統にはかなり弱い。
同じように
水は火に強いけど土に弱く
土は水に強いけど木に弱い
金は木には強いが火に弱い
これら五行から派生して雷だ、風だ、嵐だ、闇だ、光だetc…とあるわけで、それぞれ、やはり強いもの、弱いものがある。これらは主に戦闘において重要になり、ひいては精霊との契約に重要となるのだ
私が契約した精霊たちを見ても私の異常性が垣間見れる。悲しいことだが、彼らいわく地球のカミサマの気遣いらしい
例えばセラフィムやファヌエルは光属性でセラフィムに至っては水系統でもある。
フェニックスは勿論炎でバエルやサタンは闇だ。
セラフィムとフェニックスを一緒に契約するなんてまず不可能だし、
ファヌエルとバエルやサタンを同時契約も不可能。
まぁ私の異常性が知れるところだろう。いわゆるチートというやつだ。助かるけど。
「理解しないと、操れない、ゆえに魔法が使えない、というわけだ。」
「なるほど。だから一番重要なのねー」
「次に呪文だが、これは神々に対して断りの言葉だ」
「断り?」
「今から貴方の力を具現し、利用します、といったものだな。
基本的に精霊使いは余りこれを利用しない。なぜなら、精霊と契約できるだけで既に強力な力を有していると考えられるからだ。精霊は自身の属性を自在に操る。ゆえに精霊と契約しているものが精霊以外に力を持つ必要が無いのだ。精霊と契約できるほどの魔力の持ち主なら、焼け野原になっても仕方ないな」
「へー。でも興味あるなぁ」
「なら、出したい力をよく想像することだ」
「想像?」
「力の強さを調整しろということだな。蝋燭に火を点けたいのに炎をイメージしてどうする。
ごくごく弱い火を想像しなきゃだめだろ。
水もそうだ。コップに水が一杯欲しいだけなのに海をイメージしてどうする」
「なるほど分かりやすい。・・・ルーファこそ学びに来る必要性無くない?」
「餓鬼の頃から習ってりゃ誰でもわかるさ」
<ルーファの家族は魔法士なのね>
「魔法士?」
「端的に言えば魔法使いだ。」
<魔法士なのに庶民的なやつだな>
「親が変わり者でね。俺も変わり者だと自負してるけど」
<主と同室が貴様でよかったかもな。下手に欲のある人間だったら操縦していたが>
「・・・流石闇の72柱のトップだよな、言ってることめっちゃ怖いわ」
<俺たちに限らず精霊というのはどいつもこいつも主至上主義者だからな>
「それでもやっぱりあんたたちは怖いよ。」
<でなくば、最高峰と呼ぶまい?>
「確かにな」
私をおいて話続ける彼らの会話が結構恐ろしい・・・
でもまぁ、ルーファが同室で良かったのは同意見だけど