表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつか君の名を喚んで ~題名のない物語シリーズ~  作者: はつい
第Ⅱ章:こうして彼は一歩を踏み出す。
27/36

こうして彼は間違われる。

 拓弥の横にスラリとした美女が現れる。

キラリと今にも光りそうな黒ブチ眼鏡の・・・。

「あー・・・。」

 何処かでみた事がある人だな、というのが拓弥の印象。

つい先程、数時間前に会った人間ですら興味がないと彼はこうなのだ。

「会長!」

 花鈴がすっときょうな声を上げる。

(あぁ、美メガツンか。)

 会長>美メガツン>瑠璃

名前と結びつく印象順位がこうらしい。

「隣の席いいかしら?」

「へ?どぞ、どうぞどうぞ。」

 拓弥の隣の席に座る許可を飛鳥が出すという事に対して、睨む事で抗議したが、見もしなかった。

(美人に弱くない男は確かに少ないけどさぁ・・・。)

 ふと花鈴を見てみたが、彼女も面白くなさそうな顔をしていた。

果たして、このパートナー同士は大丈夫なんだろうか?と一抹の不安が過ぎる。

「で、ランクの説明だったかしら?」

 にっこりと微笑んでくるクール美人。

「いや、説明はいいです。花鈴、デザート持ってきてあげるよ。」

「え?」

 飛鳥の対応があんまりにもあんまりだろうと思った拓弥は、席を立ってデザートを取りに行った。

(そっとしておいてよ、まったく。)

 転入生だから、目立つのはわかる。

わかるけれど、自分の身にもなって欲しいとも思う。

これが、パートナーがいる人間達だというのが、尚更イラつき度が増す。

パートナーがいる人間でコレだ。

もし、パートナーがいない人間だったら、もっとまとわりつかれるかも知れない。

「うわ・・・萎える・・・。」

 デザートに甘すぎるモノもなんだと思い、杏仁豆腐とプリンを持っていく事にした。

2種類あればどちらか食べたいものがあるだろう。

残った方を拓弥が食べればいい。

くるりと振り返って、自分の席に戻ろうとすると、少しデレっとした飛鳥が楽しそうに話してるのが見えた。

(顔面にプリンをぶつけても、今なら許される気がする・・・。)

 大体、現状の原因を作り出したのは、飛鳥だ。

自分は悪くない。

なのに何故、こんな気を遣わなければならないだろう?

しかも、気を遣う相手は、飛鳥のパートナーだ。

そう思ったら、尚更イライラ度が上がった。

(僕、悪くないよな、この感情、普通だよな?)

 自分に言い聞かせながらも、自分を抑える。

「花鈴、プリンと杏仁豆腐どっちがいい?」

「ワイ、プリ・・・「うっさい、ボケ。」」

 今のは悪くない。絶対に悪くない。

自己暗示に近いものがある。

とりあえず、花鈴の前に両方置く。

「・・・ありがとう。」

 にっこりと微笑まれてしまった。

「いえいえ。両方食べちゃってもいいよ。」

 そうしたら、また取りに行けばいい。それだけこの席を離れられる。

目の前の席から教室に戻るという事は、思いつかないらしい。

実際、一人で教室に戻って、瑞穂がまたいたら拓弥も困るからだ。

「ところで、もうパートナーを見つけたのかしら?」

「は?」

 意味不明な事を聞かれて、席に座りながら拓弥は固まった。

どうやら、花鈴と拓弥の事を言っているらしい。

「困った事に、彼女はこの飛鳥のパートナーなんですよ。」

 何が困ったのか自分でもよくわかってないが、冷静な怒りというものが湧き上がってきた。

この会長の発想力には、ほとほとお手上げだ。

「そう。」

 飛鳥をチラリと見て、興味がなくなったかのように箸を口に運ぶ。

彼女が頼んだのは、和定食だった。

「まぁ、どうでもいいんですけれどね。」

「どうでも?」

 思わず本音が漏れて、しまったと思ったがもう遅い。

再び興味を持った彼女が、食事をする手を止め反応した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ