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いつか君の名を喚んで ~題名のない物語シリーズ~  作者: はつい
第Ⅱ章:こうして彼は一歩を踏み出す。
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こうして彼は食事する。

「しっかし、本当に良かったんか?」

「ふぁには?」

「・・・飲み込んでからでえぇ。」

 拓弥達3人は、今、学食で昼食を食べている。

資本が国で、最先端の技術を学ぶ施設だけあって、この学食は基本無料だそうだ。

それを聞いて、こ踊りした拓弥は現在オムライス(2杯目)に挑戦中。

今までは、生活費全般は本当に節約して節約して使っていたから、これには涙がちょちょ切れる。

しかも、食べたオムライスの卵の半熟トロフワ具合と言ったら・・・。

というコトで2杯目なのである。

「んぐっ、で、何が?」

「教室に置いてきぼりで。」

 飛鳥は、拓弥の食べる速度の早さに呆れながら、片肘をついている。

「ん?誰を?」

「・・・拓弥、本気って言っとるんか?」

 半ば呆れたように猫目を細めて睨んでくる。

「本気と言われてもなぁ・・・。」

「言われても?」

 ぐぃっと乗り出してくる花鈴。

相当、興味があるらしい。

「楽しそうだね、花鈴。」

「何を言ってんだか。オンナノコは恋話は大好物なの。」

 目がキラキラしているのを見ると、本当に興味津々らしい。

「あんま追い詰めんなや。」

「何よソレー、さっきまで自分だって聞いてたくせにっ。」

 今度は飛鳥に喰ってかかる。

「オマエのは野次馬根性やろ?ワイは心配してるだけや。」

 何処までもイイヤツなのかも知れない。

既に二人の会話をスルー気味に拓弥は3皿目のハヤシラシスを食べている。

「男同士でイカガワシイぃ。」

「アホかっ!」

「うまー。」

 ハヤシライスも絶妙な味だったらしい。

「「で?」」

「ん?」

 一人で素っ頓狂な声を上げていたのを見咎められて、二人一緒に喰ってかかられるハメに。

「んー、オムライスにハヤシのルーかけられないかな?」

「だぁっ!」

 食券を買うワケじゃないんだから、実は頼めば出来るんじゃないだろうかと、真剣に考えていた。

「あんなぁ・・・。」

 完全に呆れている。

「それはそれで美味しそう♪」

「オマエも乗るなや!」

 こうやって飛鳥は毎日のように花鈴に突っ込んでいるんだろうか?

体力よくもつなぁと、拓弥は一人で感心する。

「というか、人違いだったんじゃない?僕、うつ伏せだったし。」

「・・・言うに事欠いて人違いかい。」

「もっとマシな嘘をついたら?」

 二人して突っ込まれた。

どっちかボケをカマして欲しかったのにと心の中で思う。

「・・・ね、二人もさ、そういう事にしておいてくれないかな?あの人は僕の知らない人なんだ。」

 嘘をついているワケじゃない。

今の瑞穂は、本当に自分の知らない瑞穂なんだ。

この学園にいる間は、全く知らない少女。

自分を置いていった少女のままなら、それでいいと拓弥は思っていた。

その方が、対処も面倒にならないし、楽だし、何より彼女を責めたてたりは少なくともしないだろう。

「答えになっているようで・・・。」

「答えになってない気がするね。」

 意外と相性いいな、この二人。

そう思って、二人がパートナー同士だという事を思い出した。

「たー君がそう言うなら、聞くのは止めとくけど。」

「まぁ、そうやな。無理に聞くなんて、ドアホのするこっちゃ。」

 二人共意外とあっさり引き下がった。

いや、引き下がってくれたのだろうという事を拓弥は心の中で感謝した。

「んでも、多分、アレ、ランカーやろ?」

「らんかー?」

 ランカーというとランキングでもあるんだろうか?

(確か実力主義だったな・・・。)

「何?成績優秀者?」

 つまりはそういう事なんだろうと思って聞いてみると、二人共頷いていた。

「へぇ、それってどうやって選抜されるの?」

 別段、自分が選抜されようとは思わないが、多少の興味はある。

どうせ面倒な事をやってのけないといけなのは、聞かなくてもわかりきっている。

「それなら、私が教えましょうか?」

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