表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつか君の名を喚んで ~題名のない物語シリーズ~  作者: はつい
第Ⅱ章:こうして彼は一歩を踏み出す。
24/36

こうして彼は笑われる。

「って、ワイは無視かぃっ!」

 拓弥が席に着こうとすると、蹴り飛ばされていた少年が、勢い良く立ち上がる。

「いや、ここはスルーしておくのが礼儀かなって。」

「何の礼儀や!何の!」

 やっぱり金髪の純粋外国人に見える少年の関西弁は、胡散臭い。

胡散臭い以外の何者でもない。

「んじゃ、お約束。」

「そんなお約束いらんわい!」

 今にも掴みかかってきそうな金髪の少年。

瞳の形は鋭い猫目で色は濃い藍色だ。

「そっか。聞いてたと思うけれど、月臣 拓弥。よろしく。」

 手を出してみた。

「ワイは、アスカや。漢字やと飛ぶ鳥で飛鳥。」

 がしっとシェイクハンド。

しかし、生粋の外国人に(そういう表現があるのかは別として)見える飛鳥の名前はどうやら漢字表記出来るらしい。

「ん?フルネームは?」

「そんなもんいらん、飛鳥は飛鳥や。」

 全くよくわからない理論を吐いて胸を張る飛鳥。

「そ、そうか。」

 本人がそう主張しているのだから、飛鳥でいいや。

覚える字数少ないし。

それが本音だった。

正直、今の彼は花鈴のフルネームも忘れかけている。

「で、最大のミステリーなんだけど、何故に関西弁?」

 聞いてはいけない事ではないのかと、言ってから気付いたが、もう遅い。

「初めて聞いた日本語が関西弁だっただけや。」

 なんとなく納得は出来るが、彼の喋っている言葉が本当にちゃんとした関西弁かどうかは、非常に怪しいモノだった。

「ふ~ん。」

 まぁ、ちゃんと言葉が通じるならいっかと、相変わらずあっさりスルーだ。

拓弥的には、英語とかで喋られたりする方が困る。

「まぁ、二人とも宜しく。」

「おっけー。」「よろしくな。」

 ようやく三人で席に着く。

四人掛けの椅子だったので、三人は意外と余裕があった。

果たして飛鳥は蹴り飛ばされる意味があったんだろうか?

しかし、金髪→黒髪←金髪というサンドイッチ具合は、少し目立つかも知れない。

ふと、そんな風に拓弥は思った。

心無しか周りの人間も聞き耳を立てている気もする。

それも教室に教師らしき人間が入ってからは、全く感じなくなった。

感じなくなった理由は他にもあったが・・・。

「・・・すぅ・・・。」

 机に突っ伏している拓弥。

「なぁ、コイツ、速攻で寝てるんちゃうか?」

 飛鳥が拓弥の後頭部を指さしながら、小声で花鈴に話しかける。

「多分ね。緊張で疲れたんだじゃない?前日寝られなかったとか。」

「そうかぁ?単に神経ズ太いだけなんちゃうか?」

 ジト目で拓弥の後頭部を見詰める飛鳥の横で、クスクス笑う花鈴。

「何や?気色悪ぃ。」

「ううん、何か、仲良くなれそうだなって。」

「まぁな。なんつーか、フツーのやっちゃもんな。」

「そう、フツーの人みたいだよね。変に慣れてたり、スレてたりしてなくて。」

 充分にめんどくさがりやで、無気力でツンデレと言われるくらい天邪鬼なのを二人は知らない。

今のところ、この二人の明るさに引っ張られていて、気力ゲージの低い時の状態が出ていないのが良かったらしい。

疲労は確かに溜まってはいたが。

「ずっと、このままでいてくれると嬉しいな。」

 先程の底抜けに明るい雰囲気から一転、寂しげに呟く花鈴。

「そやな。人は変わるもんとは言え、無理矢理変えられるのはちゃうしな。」

 花鈴の寂しげな顔を見ながら、呟く飛鳥の表情も曇る。

「ぅぅっ・・・やきソバぱんぅ・・・。」

 拓弥の呻き声。

「ぷっ。」

 まるで魘されてるような呻き声で、出された意味不明の言葉に花鈴は思わず噴き出しそうになったが、慌てて堪えた。

見れば、飛鳥も同じようだ。

流石に授業中だ。

声をあげて笑うなんて事は出来ない。

「コイツ、どんな夢視てんねん。焼きそばパンのお化けに追い掛け回される夢か?」

 首を竦めて笑う。

「やめてよ、飛鳥。笑っちゃう、お腹痛くなっちゃうからぁ。」

 思わず想像しそうになって、二人の腹筋は悲鳴を上げたのであった。

やっと進んだ気がする・・・。

飛鳥の関西弁はエセなので、突っ込まないでネ♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ