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皿うどんの季節

掲載日:2026/05/01

 初めては高校生のときだった。修学旅行で。ほとんどのヤツ、それは僕も含めだけど、経験なかった―


「リバースゥ」


「革命えええい」


「ドロー2の上にドロー4っていいの?」


「おっしゃ、革命がえしいいいいい」


「はい、UNO言ってないぃ」


 行きの新幹線で、盛大に大貧民をやって、UNOもやった。すこし勝って、たくさん負けた。


 大阪から新幹線で山口あたりまで。そこからはクラス単位でバス移動。デッカイ橋を渡って福岡、熊本。


 福岡は、正直、よく覚えていない。たぶん、寝てたんだろう。バスのなかで。


 熊本の阿蘇はえらくガスってて、城下町で制服ボウリングをした。いまでいう制服ディズニー、みたいな? だいぶ違うな。


「何やってんだろな、熊本まで来てさ」


「いんじゃん、こういうので」


 なんだっていいんだ、高校生なんて。食べるものも、することも。


「質より量」


「思い出よりも、いまこのとき」


 それを青春だとでも思っていたんだ。あのときは。


 最後の長崎は、昼に皿うどんを食べた。パリパリの。なんでかな、それは覚えてる。


 なんだってよかった修学旅行。長崎から大阪へ帰る飛行機。まだ乗ったことなかった。飛行機自体。


 飛行機に乗り込むとき、微笑んだCAさんたちが迎えてくれた。みんなキレイで、話しかけられたのでもないのに、わけもなく下を向いてしまった。


 飛び立つことへのいくらかの怖さと、知られることの恥ずかしさ。不自然に強がるのではなく、けど、どことなく、自然ではいられなくて。


 無意味だ。でも、あのときは必要だった。きっと。


 いよいよ、そのときが迫る。離陸へ向かっての加速がかかり、体がシートにきつくめり込む。


 飛ぶのか? との不安。

 飛ぶよ、との確信。


 離陸の瞬間、


「いっけえええええ」


「テイクオーーーフ」


「よっしゃあああああ!」


 浮遊感と高揚感にこらえられなくて、機内に野太い歓声が上がり、CAさんたちが遠慮がちに笑った。CAさんを笑かしたと有頂天のヤツもいた。僕も、控えめに「わああああ」とでも言ったんだった。


 飛行機とともに僕たちの青春もふわり、宙に浮いて。紙吹雪は舞わなかったけど、僕には見えたような。


 このまま飛んでったら修学旅行が終わってしまう。それでいて、引き返してくれなんて気持ちはなかった。空から長崎の夜景は、見られなかった。


―こういうのでいいんだな


―こういうのでいいんだよ


 あのころ不安なんて、片っ端からぶっ潰してた。胸のなかにわんさとあった根拠のない自信みたいなのが、次から次に。それが妙にわくわくで、可能性なんて、それこそ―


 胸のなかにたくさんあった根拠のない自信、ちょっと掘り返してみるかな。







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