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第5話 雷神の片鱗

 


夜の空は、

雲ひとつない。


 


星が、

静かに瞬いている。


 


ロンドは、

宿のベッドに横になっていた。


 


体は、

疲れている。


 


だが。


 


眠れない。


 


胸の奥が、

ざわついていた。


 


ダンジョンでの戦い。


 


オークを倒した瞬間。


 


あの時。


 


一瞬だけ。


 


自分の中に、

自分ではない何かを感じた。


 


「……気のせいか」


 


目を閉じる。


 


意識が、

ゆっくり沈む。


 



 


闇。


 


どこまでも、

広がる闇。


 


足元に、

雷が走った。


 


空が、

割れる。


 


巨大な影が、

立っている。


 


全身を覆う、

雷の鎧。


 


片手には、

巨大な戦斧。


 


圧倒的な存在感。


 


声が、

頭に直接響く。


 


「我が名は、

 トール」


 


ロンドは、

声を失う。


 


「恐れるな」


 


影が、

一歩近づく。


 


「我は、

 お前の中に在る」


 


意味が、

理解できない。


 


「力は、

 まだ眠っている」


 


「だが、

 お前は目覚め始めた」


 


ロンドは、

震える声で言う。


 


「あなたは……

 俺に何を……」


 


トールは、

ゆっくりと戦斧を地面に置く。


 


雷鳴が、

轟く。


 


「選べ」


 


「力に呑まれるか」


 


「力を、

 使いこなすか」


 


「答えは、

 お前自身だ」


 


光が、

溢れる。


 



 


目を開ける。


 


朝だ。


 


体が、

熱い。


 


指先から、

微かな火花。


 


「……夢?」


 


だが。


 


胸の奥に、

確かな鼓動。


 


ロンドは、

起き上がる。


 


ギルドへ向かう。


 


朝の空気が、

冷たい。


 


水晶球に、

手を置く。


 


光が、

強くなる。


 


「スキル、

 雷撃」


 


ミレナが、

目を見開く。


 


「レベル4……」


 


ロンドは、

息を呑む。


 


「そんな……」


 


ミレナは、

微笑む。


 


「昇格試験の、

 正式通知です」


 


封筒を、

差し出される。


 


ロンドは、

受け取る。


 


手が、

少し震えている。


 


外へ出る。


 


空を、

見上げる。


 


雲の向こうで、

雷鳴が鳴った。


 


偶然か。


 


それとも。


 


「俺は……」


 


拳を、

握る。


 


「冒険者だ」


 


怖い。


 


それでも。


 


進む。


 


ロンドは、

まだすべてを知らない。


 


自分が、

神の器であることを。


 


だが。


 


運命は、

動き出した。


 


雷と共に。


 


第一部・完


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