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絶対に目立ちたくない元社畜おっさんの職人NPCスローライフ~推しモブに成り代わってしまったので代わりに夢を叶えます~  作者: 嘉神かろ
第1章

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第28話 モブサブの捕り物?

 セフィア達に報告した後は、諸々の準備をしながら夜を待つ。

 昼間は新しい従業員が店で何かをしていたから、やはりあいつらが動くのは夜だろう。


 前回油を撒いた跡があったのは、店の脇。隣の建物との間にある路地側だ。あいつらはきっと、今回もそこに火を付ける。


 気が付けば辺りはすっかり暗くなっていた。人通りもすっかり少なくなって、新しい従業員もいつの間にか姿が見えない。


 念のため気配隠蔽のスキルを使ってじっと待つ。ふと見れば、あちこちに鋭い視線を巡らせる人たちの姿があった。衛兵達だ。あらかじめ情報をリークしておいたからな。


 思ったより人数が多いのは、つい先日にも同じ事件があったからだろうな。


 不意に後ろから近づいてくる気配がした。セフィアたちだ。

 隠蔽スキルの対象から二人を外せば、紫の瞳が大きく開かれる。急に現れたように見えたんだろう。


「動きはありましたか?」

「いや、まだだ。セフィアは気配を消せるスキルは……」

「ないですね」


 それはそうか。


「これを着ておけ。認識阻害効果のついたローブだ。大抵のやつには通じる」

「ありがとうございます」


 ロザリエは、やはりシーフ系の職業を鍛えてるな。ばっちり気配を消している。


「うん? ……やっと来たみたいだぞ」


 バグダの店がある方から歩いてきたのは、件の傭兵二人。いかにもな人相を警戒一色に染めて、まっすぐアルデアの方に歩いてくる。

 あれだけキョロキョロしていれば衛兵達が怪しむのは当然で、何人かはそれとなく視線を向けていた。


 傭兵たちがアルデア横の路地に入っていく。衛兵は、路地入り口の横まで行って壁にもたれかかった。


「行くぞ」


 堂々と通りを横切って店横の路地に入る。傭兵達は少し先の街灯の光も届かないあたりで立ち止まっていた。彼らを横目に見ながら、一度通り過ぎる。

 奥の方を塞ぐように立ち、彼らを見守る。片方が懐から取り出した革袋をひっくり返すと、中からとろみのある液体がぶちまけられた。


 油らしき臭いがあたりに充満する。もう声をかけてしまってもいいが、せっかくだ。未遂じゃなくて、しっかり実行してもらおう。なに、対策はしてあるからそう簡単には燃え広がらない。


 傭兵たちは布を巻いた、おそらく木片を取り出して火を付けた。路地裏が小さなオレンジで照らされる。布には油でも染みこませてあるのか、なかなか燃え尽きない。

 その木片を、傭兵たちはついさっきぶちまけた液体の中に放り込む。


 路地裏が一気に明るくなった。液体を辿るように炎は一瞬で大きくなって、俺たちにまで熱を伝える。

 こいつら、慣れてやがるな。酒場での様子からして、前からバグダと繋がりがあったわけではなさそうだが……。


 やり方だけバグダに指示されていたのかもしれない。同じ方法で二度目ならこれくらいスムーズにできるだろう。


「くそっ、やっぱり対策されてるか。建物に燃え移らねぇ」

「向こうもバカじゃないってことだな。腐食ポーションを持ってきておいて良かった」


 おっと、あれを使われたら耐火効果が破壊されてしまう。


「よお、お前ら。こんな所で何してやがるんだ?」


 スキルを解除し、声をかける。ロザリエも同じく。セフィアはフードを外した。


「あん? あ、てめぇは店主の……!」

「見られちまったか。なら、仕方ねぇな。喋れねぇ体になってもらうぜ?」


 剣が引き抜かれた。罪状追加だ。

 そしてこれだけ騒いだら、当然通りにいる衛兵達も気が付く。


「取り押さえろ!」


 傭兵たちの意識が背後に逸れた。瞬間、視界の端から影が飛び出した。ロザリエだ。

 彼女は傭兵二人の後頭部を強打しよろめかせる。得物はフライパンだから死にはしないにしても、かなり思い切りよくいったな。


 傭兵たちはそのまま衛兵達に取り押さえられた。思った以上にあっさりしてたが、まあ、もうこいつらは大丈夫だろう。店の裏手に隠しておいた水入りのバケツを持ってきて、炎を消火する。


 衛兵の対応は、セフィアがしてくれてるな。


「お前ら、さっさと依頼主まで吐いたらもしかしたら多少の減刑くらいあるかもしれないぞ」


 おそらく無いが。

 ただ、これで衛兵たちの目の色が変わった。


「うるせぇ、まだ捕まらねぇよ」


 何言ってやがるんだ?

 余裕をかまして笑ってやがるが、しっかり地面に抑え込まれてるじゃないか。


 その状態で何が――


 閃光が奔った。と同時に爆発音がして、衛兵たちのくぐもった悲鳴が聞こえる。


「くそっ、やられた!」


 魔力式の指向性爆弾だ!

 ダメージは大して無いみたいだが、至近距離で受けた衛兵は意識が酩酊してるようでまだ立ち上がれていない。


 方向が限定されるとはいえ、まさかこの距離でそんなものを使ってくるとは。


「うぅ……、いったい何が……」

「お嬢様、大丈夫ですか……」


 二人も大丈夫そうだな。距離と方向が衛兵たちとは離れていたのが幸いした。


「回復した者から追え! 絶対に逃がすな!」


 指揮官はもう回復したか。任せても良いが、懸念もある。


「俺たちも追いかけるぞ!」


 気配を隠蔽して追いかければ目立ちはしない。


 この方向は、バンデッドか。それならそれで都合が良い。合流されるならそのまま纏めてとっ捕まえるだけだ。

 仮にここで逃がしても、一番近い街の門には一応ケインたちも待機している。問題ない。


 ていうか早いなあいつら。いや、生産職が遅いんだ。

 あれこれのパッシブ込みでようやくシーフ系職業の上位職と同じくらいだからな。徐々には距離を詰められてるから、向こうはまだ上位職になったばかりなんだろう。


 ロザリエの方は、セフィアを抱えているから全力で走れていない。お姫様抱っこしながらじゃ、スピードが落ちるのは当然だろう。むしろよく付いてきてる。


「ロザリエ、私は置いて行ってください! あなた一人なら追いつけます!」

「しかし!」

「いいから!」


 ロザリエは万が一が怖いんだろうが、ここで捕まえてしまえば済む話だ。

 ……いや、少し遅かったな。


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