第2話
目が覚めた瞬間から、胸の奥が重い。
起き上がる理由なんて、何ひとつ思いつかない。
だけど、腹は減るし、喉も渇く。
仕方なく、仕方なく、布団から這い出す。
鏡を見ると、ひどい顔をしている。
目の下には濃い隈、髪は乱れて油じみ、肌は荒れている。
自分でも直視したくなくて、視線を逸らした。
「こんな顔で外に出るのか」
そう思っただけで、心臓が縮み上がる。
財布の中には小銭ばかり。
昼飯はコンビニのおにぎり一つ。
イートインの隅っこで俯いて食べる。
周りに座る学生たちの笑い声が、耳を突き刺した。
楽しそうで、明るくて、遠くて。
自分がそこに混ざれるなんて、想像もできなかった。
食べ終わった袋を丸めてポケットに突っ込む。
ゴミ箱に捨てに行く勇気すら出なかった。
誰かに見られて、「あいつ汚い」と思われるのが怖かった。
帰り道、ガラスに映った自分と目が合う。
そこに立っていたのは、覇気もなく、背中を丸め、情けなく生きている人間。
吐き気がこみ上げた。
「生きている意味なんてあるのか」
「どうせ誰も期待していない」
「消えてしまえたらいい」
そんな声が、頭の奥で延々と反響する。
それでも、死ねない。
死ぬ勇気さえ、持てなかった。
だから、惨めに今日も生き延びる。
息をして、食べて、眠るだけ。
誰の記憶にも残らないように。
誰の邪魔にもならないように。
願うなら、せめて夢の中でだけでも過去に戻りたい。
ほんの少しでも「やり直せた」と錯覚できるのなら。
目覚めればまた同じ現実。
惨めで、汚くて、空っぽな一日が待っている。




