第44話「モブの決断」
管理者の空間、霧が薄れ、光が揺らめく。俺、存在感0のモブだったはずなのに、トレンチコートで立ち尽くす。昨日、モブ連合のリーダー、モブAを倒し、美咲の妹を救出した。だが、存在感0が消えた。モブたちが「英雄！」「霧町の救世主！」と叫ぶ。胸が締め付けられる。美咲と妹が並び、「背景くん、完璧だったよ。君のおかげで妹を救えた」と美咲が言う。妹が「ありがとう、お兄さん」と微笑む。でも、俺の力、完全になくなった。物語のルール、乱れたまま。
（存在感0、終わった。俺、どうなるんだ？）
美咲が書類を手に、静かに言う。「背景くん、君のモブの力、連合を倒した。君、この世界に来た時、背景に再定義されただけ。本当の君はモブじゃない」！？後天的！？「美咲、それ本当か？」俺の声、震える。彼女が頷く。「管理者の空間、君の力を限界まで使った。妹を救う鍵は君の力だったけど…現実世界に戻すには、代償が必要。誰かの存在をこの物語から消すこと」！？代償！？俺、息を飲む。モブたちが「英雄、選べ！」とざわつく。空間の中心、白紙の舞台が青白く光る。
（代償？誰かが消える？俺、何だ！？）
美咲が目を伏せる。「私が残る。君と妹、現実へ戻って」！？美咲、犠牲！？「ダメだ！俺が残る！」俺、叫ぶ。妹が「やめて、お兄さん！」と涙ぐむ。美咲が「背景くん、君がモブの力で連合を倒した。この世界、君が残れば新しい物語を作れる。私が消えれば、君たちは安全に現実へ戻れる」と言う。俺、考える。存在感0、俺を安全圏に閉じ込めてた。モブ連合を倒し、妹を救った今、俺はもうモブじゃない。安全圏に隠れるのは、もうやめる。
（美咲、犠牲？俺、物語を選ぶしかない！）
白紙の舞台が光を強める。俺、トレンチコートを握りしめる。「美咲、俺、物語に残る。君と妹、現実へ戻れ」美咲の目、驚きと涙。妹が「そんな…お兄さん！」と声を詰まらせる。モブたちが「英雄、物語を！」と叫ぶ。俺、背筋が凍る。美咲が「背景くん、君、覚悟決めたんだね」と微笑む。「君がルールを乱したから、連合を倒せた。物語、君が再構築するよ」彼女、書類を手に続ける。「管理者の弱点、ルールを乱す者。それが君の力だった」！？俺、弱点！？
（俺、ルールを乱す者？物語、俺が作る！）
俺、深呼吸する。存在感0、俺を背景に縛ってた。でも、この世界で戦い、仲間を守った。俺はもう、ただのモブじゃない。「美咲、君と妹、現実で幸せになってくれ。俺、この物語で生きる」美咲が涙を拭き、「背景くん、ありがとう…君、最高の英雄よ」と言う。妹が「お兄さん、忘れない！」と抱きつく。白紙の舞台が強く光り、美咲と妹が現実世界へ消える。光が収まり、空間が静寂に包まれる。モブたちが「英雄、物語を！」と囁く。
（美咲、妹、さよなら。俺、物語の中心だ！）
俺、一人、白紙の舞台に立つ。存在感0、完全喪失。トレンチコートが重い。俺、考える。安全圏だったモブの人生、捨てた。美咲と妹、現実で新しい人生を。俺、この世界で何を築く？霧が晴れ、空間が崩れる。俺、霧町の広場へ戻る。空が晴れ、街灯が柔らかく光る。物語のルール、乱れたまま。俺、拳を握る。俺がこの物語を再構築する。胸が締め付けられるけど、前に進むしかない。
（俺、存在を選び取る。物語、始めるぞ！）
霧町の広場、静かだ。モブたちが遠くで囁く。「英雄、新しい物語を…」俺、トレンチコートを脱ぎ、制服の襟を正す。存在感0はなくなったけど、俺はこの世界の登場人物だ。物語の外から、かすかにページをめくる音が聞こえる。俺、微笑む。この霧町で、俺の新しい物語が始まる。
（連合、ジャンルの霧を操ったなら、俺、存在を選び取る）
