第23話「テストの裏で蠢く影」
金曜日の教室は、中間テスト初日の緊張でピリピリしてる。生徒たちは机に突っ伏すか、教科書をパラパラめくってる。俺、存在感0のモブは、窓際の特等席でパンをかじりながら、佐藤健太――改変モブ2号をガン見してる。昨日、スタディグループで佐藤が藤堂翔と高嶺美咲を分断しようとしたけど、俺の細工で失敗に終わった。でも、佐藤が校庭の隅でスマホに「誰かが動いてる。緊急プラン、急げ」って話してたのが、頭から離れない。モブ連合、テスト会場で何か仕掛けてくるぞ。
「おはよ、翔!テスト、気合い入れていくぜ!」
佐藤が朝から藤堂に絡んでる。いつもの明るい笑顔だけど、目が妙に冷静だ。藤堂は「まぁ、適当にやれよ」と脳天気で、ノートを広げてる。美咲は窓際の席で、友達とテストの範囲を復習しながら、佐藤をチラッと見る。彼女の視線、なんか鋭い。ヒロインAが、モブ連合の動きをどこまで感じてるんだ?
(佐藤、テストで何を企んでる?美咲、お前も何か知ってるだろ?)
俺の背筋がピリッとする。佐藤は親睦会、体育祭、スタディグループと、ことごとく藤堂と美咲のラブコメを乱そうとしたけど、俺の存在感0を活かした細工で全部潰してきた。でも、モブ連合の「緊急プラン」はまだ見えない。テスト会場で何かデカい動きが来るはずだ。
テスト会場。担任が「席は指定、動くな」と言う。佐藤が座席を操作したっぽい。藤堂は前の方、美咲は後ろ、完全に離れてる。モブBが藤堂の隣、モブCが美咲の後ろに座ってる。俺はモブBの近く。英語のテスト開始。問題用紙が配られ、教室は鉛筆の音だけになる。俺、存在感0をフル活用して、モブBの机に「単語リストP.32」と書いた付箋をそっと置く。モブBが「なんだこれ?」と小声で焦る。藤堂が「集中しろよ」と笑う。よし、モブBの妨害、封じた。
次、モブCの動き。奴が美咲の答案に小さなメモを挟もうとしてる。カンニングを誘うトラップだ。俺、消しゴムをわざと落とし、モブCの足元に転がす。奴が「ん?」と動きを止める。美咲が前で問題を解いてるけど、俺の方をチラッと見て、ニヤリと微笑む。「背景くん、面白いことやってるよね」と、ほぼ口パクで囁く。!?ヒロインAが、俺の存在感0を完全に捉えてる!?心臓がバクバクする。彼女、モブ連合のことも知ってるのか?
(美咲、俺の動き、どこまで見えてる?連合の正体、掴んでるだろ?)
テスト終了。教室に戻ると、藤堂が「美咲、英語どうだった?」と絡む。美咲が「まぁまぁかな」と笑う。原作通りのラブコメ、なんとかキープ。佐藤がモブBとCにコソコソ話しかける。「次、ちゃんとやれよ」と、声が硬い。モブBが「なんか変だった」とボソッと言う。俺の細工、効いてるな。
昼休み。佐藤がモブB、C、女子二人、モブ男子一人と教室の隅で話してる。「明日のテスト、準備OK?」「うん、完璧」とモブBがニヤリ。モブCが「美咲、なんか怪しい」とボソッと。明日のテスト!?モブ連合、テスト2日目で何か仕掛けてくる。原作じゃ、テストはただの日常パートなのに、連合が裏で動いてる。
(佐藤、テストでどんな改変を狙ってる?藤堂と美咲をどう乱す気だ?)
俺は、窓際で考える。佐藤のこれまでの動き――親睦会、体育祭、スタディグループ――全部、藤堂と美咲の関係を間接的に揺さぶる仕掛けだった。モブ連合が糸を引いてるなら、テストで何か大胆な改変を狙ってる可能性が高い。例えば、カンニングの誤解で二人を対立させるとか、答案を操作してイベントを起こすとか。でも、美咲が俺の動きに気づいてるなら、彼女と連携できるかも。ヒロインAとモブが絡むなんて、物語のルール的にアウトだけど、ルール自体がもうグラついてる。
放課後、佐藤が校庭の隅でスマホを取り出す。俺、存在感0で尾行。「テスト、失敗した。誰かが動いてる。緊急プラン、急ぐぞ」と、佐藤の声が硬い。モブ連合、テスト初日でしくじった焦りがバレバレだ。緊急プラン、明日何かくる!
(美咲、俺と組むなら、今だ。連合の動き、事前に潰す)
教室が静まり返る。夕方の陽射しが窓から差し込み、黒板に長い影を落としてる。佐藤の背中が遠ざかる中、美咲の「背景くん」発言が頭を巡る。彼女、俺の存在感0を見抜いてる。モブ連合の緊急プラン、テスト2日目で何を仕掛けてくる?なんか、さっき教室で一瞬、クラスメイトの視線を感じた気がした。俺の存在感0、ほんの一瞬、グラついた?いや、気のせいだろ。佐藤の次の手を、俺が先に読んでやる。
(モブ連合、お前らの企み、俺が全部見破るぞ)




