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「いやー、突然お尋ねして申し訳ありません」
狐のように目を細めながらニコニコ笑うのは、右側に座っている副宰相。
「私ストラーノ・イオ・フォクスと申します。一応副宰相です」
そう言われて握手を求められると、断れない。この男、めんどうなタイプだ。
「ではそちらの方が・・・」
「ああ、私が宰相のトルク・イオ・ラックだ」
まあるいたぬきさん、お名前トルクさんだったんですね。こちらともしっかり握手してから、自分も名乗る。
「はじめまして、シエルです」
「シエルさん、こちらでの生活はどうですか? 森の中で暮らしていたとなっては、なかなか慣れないものもあるでしょう? 」
「はい、まあ。・・・さっき謁見が終わったばかりですぐに訪ねてこられるなんて、何用ですか? 」
長々とした口上なんて、あろうがなかろうが変わらん。ちゃちゃっと省いちゃって、さっさと本題に入ってもらおう。
「おや、こういった形はあまりお好きではないようで? 」
「もっと直接的に話してくれて構いません」
「では単刀直入に言いましょう。我が国の継承問題に手を貸して頂きたいのです」
ほう、どういうことだ?
「現在我が国には、第一王子ルーフェウス・プロムナード殿下、第一王女メティーナ・プロムナード殿下、双子の第二王子セシオン・プロムナード殿下と第三王子ルシオン・プロムナード殿下、第二王女マルデリーナ・プロムナード殿下がいらっしゃいます。この内ルーフェウス殿下とマルデリーナ殿下が王妃様のお子であり、メティーナ殿下は第ニ側妃ガーベルナ・タクトア様、セシオン殿下ルシオン殿下は第一側妃セルラ・ティリシス様のお子になります」
うん、さっきまで頑張って頭に叩き込んでいたところだ。道中の一度アルシュさんが説明してくれていたが、その時は聞き流していた。
・・・多いな!
「ここまでよろしいでしょうか? 」
「はい」
「現在第一王子であらせられるルーフェウス殿下は齢十八歳。最年少のマルデリーナ殿下は十二歳です。我が国では王子王女殿下が十歳になった時点で、立太子させることが可能になります。二年前、マルデリーナ殿下が十歳になり、次第に継承問題が表面化しました」
「それはそうでしょうね」
全派閥が主だって立ち上がれるようになったのだ。戦いのゴングが鳴った瞬間だろう。
「ちなみに継承権の順番はどうなっているんですか? 」
お恥ずかしながら、まだそこまで勉強できていなくてですね・・・。誰が誰の子かを覚えるので精一杯だったもので。
「ああ、お話し忘れていましたね。現在の法律によれば、継承権は男子優先の長子から順にとなっているため、上からルーフェウス殿下、セシオン殿下、ルシオン殿下、メティーナ殿下、マルデリーナ殿下となっています。ただし、セシオン殿下ルシオン殿下に関しては双子であるため、継承順は同位になっています」
「わかりました。ありがとうございます」
「他にも何か質問があればいつでもおっしゃってください。では話を戻しますね」
ここからが本題なんだろうね。
「現在対立が激化しているのが、ルーフェウス殿下を王太子にと推薦する王妃派とメティーナ殿下を擁護する第二側妃派なのです」
ん? 王子と王子じゃなくて王子と王女なんだ。珍しいね。
「ルーフェウス殿下は王妃様のお子であるという血統と、継承順位第一位という正当な理由を持ち合わせています。一方でメティーナ殿下はグランディオン帝国に留学したこともある秀才で、多くの実績を積んでいます。この二点のどちらを重視するかで、ここ二年、ひたすら争っているのです」
なるほど。
「今のこの国の状態はわかりました。で、」
一息ついてから続きを紡ぐ。
「あなた達は私にどちらに協力して欲しいんですか? 」
お読みいただきありがとうございます!




