19
お読みいただきありがとうございます!
「フェニックスとフェンリル・・・? はあ・・・」
俺は今夢に中にいるのか?
幼い頃伝説やら英雄譚やらで聞きまくったのが今、目の前にいるのか?
「つかぬことをお伺いしますが、本物・・・」
「「「本物よ(だ)! 」」」
「・・・ですよね」
嘘だろ!? こんなの聞いてないぞ!
「団長・・・」
だめだ、聞こえてない。完全にフリーズしてる。
だが、喋る点についても、異様に魔法を使い慣れている点についても、それでしか説明がつかない。「神獣だから」の一言に全て丸投げして思考を放棄したとも言う。
「言いたかったのはそれだけよ。私たちももう寝るわ! 」
そうして自由気ままな彼らは、シエル殿の周りに群が・・・囲んで寝息を立て始めていた。
「団長! 」
「ん? あ、ああ。なんだ!? どこまで話が進んだんだ!? 」
「なにも進んでません」
ほらと神獣たちを指差すと、団長は呆気にとられていた。
「神獣というのは、なんとも自由なものなのだな・・・」
***
朝日が登る。普段はこの時間に起きているが、今日は違った。
「いやー、おはようございます! 」
キラキラと汗を流すクラックさんの笑顔を見て、「まだ眠い」とはとても言えなかった。
こんな早起きしたの前世ぶりだって。
まだ空が薄暗いうちに騎士たちの騒ぐ声で起きた。外に出ると、そこにはいつもの穏やかな朝とは違う、むさ苦しい朝が広がっていた。
上半身裸で打ち合いをする騎士たち。
漫画では効果音までつけてかっこよく描かれるシーンかもしれないが、あいにくここには「かっこいい・・・」なんて言うヒロインもおらず、正直見てて暑苦しいだけだ。
「起きたか、シエルよ」
「ん? 」
ふと声のした方に目を向けると、常夜が尻尾で剣を持ちながらあの怪我の酷かった騎士、ルアンさんと打ち合っていた。
「剣ができたんだ」
「まあな。やはり、しばらくやっていなかったから鈍っておるな」
へぇー。常夜の尻尾、たぶんこの世のどの生物の尻尾よりも役に立ってるな。
「というか、ルアンさんは怪我もう大丈夫なの? 」
包帯がグルグル巻きのままだ。だけど、周りの隊士は誰ひとり気にしていない。
「ああ、このぐらいもう大丈夫ですよ! ほら、もう血は止まりましたし! 」
「いや、血が止まればいいって話じゃないんだけど」
「? 血さえ止まれば、いくらでも動けるようになるんじゃないですか? 」
「強ッ・・・」
ルアンさん、隠れた超人だったか。
「ハーフドラゴニアならば当たり前ではないのか? 」
「なにそのドラゴン? みたいなの」
「ドラゴニアだ」
なんかすごくファンタジー。実際ファンタジーなんだけど。
「そのドラゴニアって? 」
「竜獣人のことだ」
「じゃあハーフドラゴニアって・・・」
「その者のような、ドラゴニアと他種族の混血のことだ」
「僕ですか? 」
「ルアンさんハーフドラゴニアだったんだ」
「は?・・・え!? 僕がハーフドラゴニアですか!? 」
この反応には私もびっくりだ。同じように常夜も意外そうな顔をした。
「あれ、知らなかったの? 」
「気づいてなかったのか? 」
「気づくわけないじゃないですか! 」
「そもそも人間でその回復力はおかしいだろう」
やっぱりおかしいんだ。
「親からなにも聞いていないのか? 」
「・・・親はいません。僕は孤児だったんです」
だから知らなかったのか。
「なるほど、そういうことか。ではもう一つ伝えてやろう。そなたは今まで自分のことを人間だと思っていたようだが、もう半分も人間ではないぞ? 」
「へ? 」
「正確に言うと、四分の一は人間だ」
ここまで来ると、もう私は話を聞いているだけで、口を出さなくなった。常夜の次の言葉は、ルアンさんをより驚愕させるだろう。
「そなたはドラゴニアとハーフエルフの混血だ」
「そんな・・・。でも、僕耳丸いですよ!? 」
「恐らくハーフエルフの方からの遺伝だろう」
「・・・」
ルアンさんは口を開けたまま呆然としていた。




