セカイノオワリハジマリ
ホープが俺に告げた言葉
それは、崩壊が始まっている今はただ世界を創造する魔術だけではだめだ。と
世界が複数になって色々なパラドクスが起こってしまい、ひとつの世界として収集がつかないかららしい
だから――
「主様がホープに、もしものためって魔術――無詠唱で発動できる魔法と違って鍵言の詠唱が必要となる奇跡ね。残してくれたんだ。それが蘇生型の不死術
禁術だからホープしか使えないけど……。死んでも蘇生されて不死になる魔術。対象は今生きるもののすべて
それから……世界が滅びるのを待つの。楽園が滅べばたぶん箱舟も一緒に消えてしまう。ホープたちも1回死んじゃうけどね、無の空間で生き返るから
生き返ったらホープを殺してその血を媒介に唱えるの、”ゼロ・ワールド”って
トキくんも、唱えたらもう一度死んじゃう……。命、代償なんだ
でも、残された方法はこれだけだから。協力して」
死ぬのは、怖い
生き返って、ずっと死ぬことができないのは、もっと怖い
ただ、これ以外方法がないなら、覚悟を決める
ホープを殺してしまう罪も背負う
世界を救うために
――ノエルに恩を返すために
「協力する
唱えてくれないか?ホープの覚悟が決まったら。不死の魔術とやらを」
こくりと頷いた後、一呼吸おいて術式を唱え始める
「永遠を願う、迷える子羊。死から救済を。生への奇跡を。術の名は不死。<vis aeternitatis,amissa agnus.salus a morte.Miraculum ad vitam.Nomen ars immortalitas est>」
変化は感じなかった
光が体に纏わりついて、数秒で消えただけで
ただ、ホープ曰く術は成功しているはずなので大丈夫だということ
さぁ、あとは崩壊を待つだけだ
*****
ゆっくり、ガラスが砕け散るように、世界が崩壊していった
俺たちの体も、同じように
肉体が徐々に壊れていって、痛みで声も出なかった
この痛みをもう一度は……耐えるしかないか
「甘く……みてたなぁ。痛みがあるなんて、想像もしてなかった」
「同感だ
……あともう1回、耐えられるか?」
「だいじょーぶ。ホープちゃん、強いから」
半泣きで震えながら言っても説得力はないが、信じるしかあるまい
ホープに剣を向ける
「魔力を込めて、その剣で心臓を貫いて。ホープちゃん、特別だから。今言った方法くらいでしか殺せないからね
それから――唱える言葉、わかる?」
「問題ない」
俺はホープの心臓を貫いた
言われた通りに
剣から伝わる肉の感触が生々しくて気持ち悪い
誰かを殺すのは、もう二度とやりたくないな
「世界を、創造せよ
“ゼロ・ワールド“」
今度は、痛くないな
俺は術が成功していることを願った――
*****
1000年後
「君は、誰?」
「わ…私、ティア
えっと……助けてください!
悪魔に……追われてて、捕まったらダメだって。世界が……終わるから」
結論から言おう
世界を創り出すことには成功した
だが、世界は救えなかった
新しい世界で、主様や神様の使命と記憶と魔力を持った転生体が生まれたからだ
当然、女神――後の世界では悪魔と呼ばれる存在も
俺たちのしたことは、再び同じことをやり直しただけ
意味は無かったんだ
こうして俺たちの物語は幕を閉じた
これで最終話です
読んでいただきありがとうございました
そのうち続編出します