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番外編:お酒の勢い

 公爵邸に戻る頃には空は暗くなっている。

 私は軽やかな足取りで廊下を歩く。

 ベン様の微笑む表情を想像すると、自然と気分は良くなった。


「どれを着ようかな」


 部屋一面に並ぶドレスはどれも素敵なものばかりで、選ぶのに悩んでしまう。

 可愛いや綺麗だと言われる様子を想像すると、それだけで嬉しい気持ちになる。

 時計を見ると、ベン様との約束の時間が近づいていた。


「これ!」


 結局決めきれず、運に身を任せて目を瞑ったままドレスを手に取る。

 ドレスは淡い水色を基調とした生地に花柄の刺繍で飾られていた。

 可愛らしいと言われたいと思うと、早足で食堂に足が向かう。


「おかえりなさい」

「ベン様もお仕事お疲れ様です」


 ベン様を見ると、心の内から幸せが溢れ出す。

 いつもよりも少しだけベン様の口角が上がっていた。

 それだけで、今日が楽しみにしていると伝わってくる。


「嬉しそうだな」

「ベン様も嬉しそうです」

「それはもちろん」


 頬をほんのりと赤色に染めて、柔らかい笑みを浮かべるベン様はとても魅力的に見えた。

 こんな美形な男の人は誰だって惚れると思う。


「2年間一緒にいてくれてありがとう」

「こちらこそ、私を幸せにしてくれてありがとうございます」


 ベン様は丁寧にボトルを手に持って、ワインを注ぐ。

 透明感のある赤色は光はよく通す。

 

「ずっと一緒にいよう」

「もちろんです!」


 グラス同士を合わせると、綺麗な高音が響く。

 

「折角の良いワインだ。悪くならない内に楽しもう」


 ベン様はグラスを唇に当てて、ワインを飲む。

 その動作はとても絵になって、艶っぽい。

 

「やっぱり美男です」

「そうか?」

「綺麗な顔立ちをしてると思います」

 

 私はベン様の顔をじっと見つめる。

 

「そんなに見つめられると照れるな」


 お酒のせいかいつもより頬が赤く染まっている。

 そんな発見があるから、ベン様の顔をずっと見ていても飽きない。


「俺だけが楽しんでも仕方ないさ」

「折角のプレゼントですからね」


 私もワイングラスを手に取ると、ブドウの香りが強く鼻腔を撫でる。

 初めて飲むお酒に緊張感を覚えながら、少しだけ飲む。

 ブドウジュースに独特の香りの加わった味わいが口の中で広がった。


「どうだ?」

「よく分かんないです」

「最初はそんなものさ」


 何となく心地の良い感覚をもっと感じたくて、もう一口ワインを口に含む。

 ゆっくりと味を堪能していると、段々と体の内が火照るような感覚がした。


「ベん様」

「どうしたのか?」

「好きです」


 隣にいるベン様がいつにも増して愛おしく見える。

 私はベン様の背中に手を回して抱き締めると、暖かな体温を感じた。


「様子がいつもと違うぞ……」

「普通れす」


 ベン様の乱れる鼓動を感じて、私はたまらなく嬉しく思う。

 とても近くでベン様の顔を見つめると、キュッと結ばれた唇が印象的に映る。

 私はゆっくりと首の後ろに手を回して口付けをした。


「んっ!?」


 柔らかい感触が私の唇に伝わる。

 ベン様の驚くような声を聞くと、更に体の内から熱が溢れ出した。


「絶対に離しゃないれす」


 もう一度ベン様と唇同士をくっ付けると、幸せに満ち溢れる。

 ぼーっとする程の心地良さに浸っていると、瞼が段々と重くなっていく。

 抱き着こうとしても、腕に力が上手く入らない。


「大丈夫か?」


 バランスを崩して床に倒れそうになるが、ベン様に抱き抱えられる。


「えへへ、かっこいいれしゅ」


 頼りになるベン様の温もりがとても心地良くて、眠気が襲いかかってきた。

 

「今日はゆっくり休むんだ」

「もっと話したいれしゅ」

「また明日も一緒に話せるから……」


 そんな事を言われると、心は安心しきってしまう。

 抗えない睡魔に負けると、ベン様の腕の中で私は意識を手放す。

「面白かった!」「アイラちゃんとベン様尊い!」と思っていただけたのなら、ブックマークと下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援頂けると励みになります!


 また、新作を投稿したのでこちらも読んで頂けると嬉しいです。

『 パン職人ルヴィアの暖かな新生活〜実家から逃げ出したら、いつの間にか仕事人間な騎士様に溺愛されていました〜』

https://ncode.syosetu.com/n0946ib/

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