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62.誕生会の準備

 いつも通りにピアノの練習から公爵邸に戻ると、どこかピリピリした雰囲気が漂う。


「何かあったのですか?」


 夕食中にベン様に質問すると、笑顔を浮かべたまま誤魔化されてしまう。


「うーん……どうしたのかな?」


 何か事件が起こったかもしれないとモヤモヤしてしまう。


「そんな事があって、何か知ってますかね?」


 櫛で髪をといでもらっている最中にナターシャさんに相談をする。


「今から言う事はベン様には内緒ですよ」

「はい……」


 鏡に映るナターシャさんは人差し指を唇の前で立てた。

 咳払いをして、吐息の混じった小さい声が部屋に響く。


「実はそろそろベン様の誕生日の時期なんです」


 その言葉を聞いた瞬間にナターシャさんの真剣な表情は一気に優しく見えてくる。

 

「誕生日……」


 実家では誰かの誕生日を迎える度に泣いていた事を思い出す。

 憧れていた行事に私は目を輝かせた。


「何か手伝えることはありますかね?」

「ええ。丁度アイラ様にお願いしようと使用人で相談していた所です」


 ナターシャさんはパーティーの企画を話し始める。

 その中で私はプレゼントを渡して、手紙を読み上げる係を任された。


「頑張ります!」


 ベン様の喜ぶ顔を思い浮かべると、やる気が満ち溢れる。

 

「今年はアイラ様も一緒なので、一緒にベン様に喜んでもらいましょう」

「はい!」


 ナターシャさんと固い握手を交わして、ベン様の誕生日パーティーの準備が始まった。

 使用人さんもベン様に喜んで貰おうと、熱心に飾りを作っている。


「手伝っても良いですか?」

「はい! 是非お願いします!」


 使用人さんにアドバイスを貰いながら作っていると、とても可愛らしいバースデーカードが完成した。


「とても良い感じです!」

「はい!」


 カードを開くと立体的なピアノが出てくる仕組みになっていて、かなり自信のある出来となる。

 丁寧に封をすると、ベン様の喜ぶ顔が頭に浮かんだ。


「アイラ様! 当日に一曲ピアノを演奏してもらっても良いですか?」

「もちろんです!」


 みんな楽しそうなアイデアを沢山持っていて、用意をするだけでも公爵邸は盛り上がりを見せている。

 段々と近づいていくベン様の誕生日に期待感が膨れ上がってきた。


「うーん。なんて言おう……」

 

 星空に照らされる自室の中で、日頃の感謝を込めて伝える言葉を考える。

 自分の気持ちを上手く伝えようと言葉を練るが、中々納得がいかない。


「ふわぁ」


 つい熱中し過ぎて、気付いたら真夜中になっていた。

 ベン様に強く抱きしめられる様子を想像すると、頬が緩む。

 浮かれた気分のままベッドに入ると、素敵な夢が見れそうな予感がした。

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