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59.愛している

 幸せと緊張で心臓は人生で一番うるさく感じる。

 ベン様の澄んだ瞳が私をジッと見つめた。


「んん!?」


 ベン様は今までで一番強い力で私を抱きしめる。

 

「あぁ。俺も愛している」


 ベン様の腕の力は私に大切にされていると実感させた。

 呼吸を忘れるほどの充実感が私の中に満ちる。

 

「ベン様……」

「どうした?」

「もう一回口付けをしてほしいです……」


 言葉にすると、恥ずかしさで顔から火が出そうになってしまう。

 それでも、体に幸せが一気に流れ込む感覚をもう一度味わいたい。


「あぁ」


 ベン様は丁寧な手つきで私の頬に触れる。

 ゆっくりと近づけられる唇に私の目は釘付けになった。

 キュッと結ばれたベン様の唇は優しく私の唇に触れる。


「んっ……」


 温かい感触が唇に伝わってきた。

 心地良さと沸騰しそうな位に熱い気持ちが混ざり合う。


「すごく幸せです」


 時間にしてみれば一瞬だった。

 それでも、何時間も経ったかのような感覚になる。

 

「そうか……」


 ベン様の表情には安心が浮かぶ。

 

「ずっと幸せにする」


 愛情を強く伝えるように抱きしめられる。

 絶対に離さないという意志が分かると、心地良く感じた。


「絶対に離れません」


 こんなに幸せな時間を過ごせるのに、離れるなんてあり得ない。

 そう言い切れる程にベン様は良い結婚相手だった。


「本当にベン様と結婚できて良かったです」

「結婚相手は他の誰でもない、アイラで本当に良かった」


 もう一度ベン様は私の頬に触れる。

 そして、ゆっくりと唇を近づけた。

 私はベン様の気持ちを受け入れて、そっと目を閉じる。


「ずっとこのままで居たいです」

「あぁ」

「夕食の時間でございます」


 二人だけの世界にナターシャさんの咳払いが響くと、慌てて立ち上がった。

 

「愛し合うことは素晴らしい事ですけど、」

「ごめんなさい……」


 苦笑いを浮かべるナターシャさんに気まずくなってしまう。

 ふと、隣を見るとベン様の頬は真っ赤に染まっている。


「それでも、二人とも心が通じ合えた様で良かったです」

「はい!」


 ナターシャさんはハンカチで目を擦った。


「年を取ると、涙脆くなってしまいますね」

「この公爵邸も変わったものだ」


 そう言ってベン様はため息と吐く。

 

「えぇ。アイラ様と結婚してからは毎日生き生きしています」

「それは前からだろう」

「見違える程に楽しそうですよ」


 揶揄う様に笑うナターシャさんにベン様は目を逸らす。


「アイラが幸せそうにしているからであって」

「ベン様に楽しくいて欲しいとアイラ様は思っていますよ」

「それは反則だろう」


 誤魔化すようにハンカチで汗を拭うベン様の様子は新鮮だった。


「本当に二人とも良い夫婦ですよ」

「はい!」

 

 ふと、夜空を見ると私たちを祝福するように星が輝いている。

 この公爵邸は私にとって最高の居場所だとしみじみ思う。


「では、夕食にしましょう」

「あぁ」

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