表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/83

43.おそろいの色

 お昼を食べ終えて動物園を散策していると、あっという間に時間は過ぎていった。


「そろそろ帰ろうか」


 まだ空は青いままだけど、公爵邸に着く頃には真っ暗だろう。

 私はまだここにいたい気持ちを抑えて頷く。

 馬車に乗ると、私は隣に座っているベン様の方へ体を寄せた。


「今日はとても楽しかった」

「喜んでもらえると嬉しいです!」


 私はとびっきりの笑顔を浮かべると、ベン様は優しく抱き寄せる。

 そのまま私の頭を撫でる時間はいつもよりも長く感じた。


「俺のためにありがとう」


 ベン様は私を抱きしめる力を強める。


「朝早く起きて弁当を作って、一生懸命に俺が退屈しないように気配りをしていただろう」


 体に強く伝わってくる力はとても優しい感じがした。


「大変なことなのに、ここまで頑張ってくれたのは嬉しいよ」

「い、いえ。私がやりたくてやった事ですので……」


 ベン様は私の口に人差し指を当てて、言葉を遮る。


「それでも、俺は喜んだ」

「なら、良かったです」


 ここまで喜んでもらえるとは想像もしていなかったから、戸惑いすら感じた。

 だけど、ベン様が一言口に出すと、心の内からポカポカしたものが湧く。


「今日はありがとう。とても良い休暇を過ごせた」

「こちらこそ、こんなに素敵な生活を過ごしているのはベン様のお陰です」


 私はベン様の青い目の奥をじっと見つめる。

 どこまでも心の奥底にちゃんと伝わるように気持ちを込めて口を開く。


「いつも幸せにしてもらってるからこそ、恩返しをしたいと思いました」


 私はギュッとベン様を抱く力を強めた。


「ベン様はいつも私のために頑張っています」


 強い力で抱きしめながら、優しく背中を撫でる。

 適度に鍛えられている背中はとても頼もしく感じた。

 

「だから、私もベン様のために頑張ろうと思いました」


 ふと、ベン様の表情が凛々しいから優しいに変わる。

 とても柔らかくて穏やかな瞳で私をジッと見つめた。


「それは俺も同じことだ」


 ベン様の横顔が夕日に反射して、茜色に染まる。

 ベン様を見つめていると、とても温かい気分になってきた。


「アイラは幸せにしたいと感じるような女性だよ」


 その言葉は私の心の奥底に優しく染み渡る。

 幸せな気分は身体中を駆け回って、頬を赤くした。


「今日は朝早く起きて疲れているだろう。今はゆっくり休んでくれ」


 そう言ってベン様は肩に私の頭を乗せる。

 ベン様のがっしりとした肩を感じると、心臓の鼓動がおかしい位にうるさい。


「アイラといると幸せな気分になれる」


 きっと私の頬は真っ赤に染まっているだろう。

 ベン様とお揃いの色に満足をして、私は目を閉じる。


「おやすみなさい」


 そんな言葉を聞くと、瞼はゆっくりと重くなっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ